風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

映画『ブレードランナー』(1981)より、未来都市ロスアンゼルス

2020-11-28 05:17:51 | 特撮映画

 

 

 

 

 

 

 

公開年の1981年から38年後の未来。2019年のロスアンゼルスの風景。その上空をスピナーが飛び交う。

 

評論家の吉本隆明氏は、この一連のシークエンスはCGで作られていたと、思われたようです。

 

でも、それは間違いです。

 

1981年当時、CGはまだまだ実験段階で、実用化には程遠かった。この映画では、CGは一切使われておりません。

 

ではどうやって?ミニチュア?

 

いいえ、ミニチュアですらありません。

 

これは銅板だったかブリキ板だったか、とにかく平面な金属板をビルの形に切り抜いて、それに豆電球を寄り付けてズラッと並べただけのもの。

 

それが撮り方次第で、このような幻想的な、ある意味芸術的とも言える映像になってしまう。

 

凄いでしょ?

 

噴き上がる炎や、上空を行き交うスピナーは、後から合成されたもの。

 

スピナーはミニチュアで、このミニチュアを「モーション・コントロール・カメラ」で撮影した映像が合成されています。

 

 

モーション・コントロール・カメラ、別名ダイクストラ・フレックス。『スター・ウォーズ』の第1作の特撮えお担当したジョン・ダイクストラが開発したカメラで、コンピューター制御で同じ動きを半永久的に再現できるカメラなんです。

 

これでミニチュアの宇宙船などの動きを撮影する場合、ミニチュアは支持棒に支えられて動かない。その動かないミニチュアの周りを、コンピューターによって動きを制御されたカメラが、縦横無尽に動き回って撮影するわけです。

 

これを例えば宇宙空間などの背景に合成すると、いかにもミニチュアが縦横無尽に飛び回っているように見えるわけです。

 

本当はカメラの方が動いているのですけどね。

 

 

ブレードランナーの特撮を担当した人物は、ダグラス・トランブルという方です。この方は光を使った特撮演出を得意とする方で、光を滲ませたりハレーションを起こさせたりして、ミニチュアにリアリティを持たせるのが上手い。

『未知との遭遇』のUFOの演出でも、光を効果的に使用しておりましたね。

 

 

CGがなかった時代に、CGと勘違いされるほどの、いや、ある意味

CG「以上」の

 

映像が作られていたという事実。

 

 

特撮って、奥が

深い。