風の向くまま薫るまま

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テレビ時代劇『大忠臣蔵』 【第9話】~【第12話】 昭和46年(1971)

2019-04-22 14:55:27 | 時代劇

 

 

 

 

 

【第9話】「大評定」 脚本 池田一朗 監督 古川卓己

【第10話】「葬られた嘆願書」 脚本 池田一朗 監督 村山三男

【第11話】「神文血判」 脚本 池田一朗 監督 村山三男

【第12話】「赤穂城の落日」 脚本 池田一朗 監督 土居通芳

 

 

 

 

柳沢吉保(神山繫)の放った間者、お蘭(上月晃)と兎助(露口茂)は、上杉家の家臣・大須賀治部右衛門(睦悟朗)と手を組み、旅芸人一座を装って赤穂領に入ります。赤穂の動静を探り、あわよくば仇討の目を潰すために。

御側御用人・柳沢吉保としては、赤穂の田舎侍どもに仇討などをされたのでは、自身の権力の座が揺らぐことともなりかねない。それよりはむしろ、赤穂藩士たちが城に立てこもって一戦交えてくれた方がありがたいのです。

 

そうして赤穂を天領にしてしまえば……。柳沢の黒い思惑でした。

 

赤穂藩城代家老・大石内蔵助(三船敏郎)は赤穂城内の大広間に藩士たちを集め、大評定を行います。藩士たちは城に立てこもり籠城戦を行うことを主張、これに家老の大野九郎兵衛(伊藤雄之助)は反対しますが、大石は籠城戦を行うと決定します。しかしこれを後に撤回、藩主・浅野内匠頭(尾上菊之助)の後を追い、殉死切腹に変更されます。

大石の意図を図り難ねる藩士たち。大石はさらに、幕閣に対しこの度の片手落ちの裁定を批判し、鎌倉御成敗式目以来の喧嘩両成敗の法に則り、吉良上野介(市川中車)にも閥を与えるようしたためた嘆願書を書き、使者に持たせて幕府・大目付に提出させようとします。

この情報を得た上杉家家老・千坂兵部(丹波哲郎)は、柳沢吉保と面会し、この嘆願書を受け入れるように促します。普通なら幕府が取り上げるような内容ではないし、大石もそれを承知の上で、ただしっかりと筋を通すという名目のために提出されたもの。これが拒否されれば、愈々仇討以外ないという名分ともなる。

 

だから、これを受け入れてしまえば、逆に仇討の名分はなくなる。

 

 

嘆願書は一度赤穂藩の江戸家老らの手に渡ります。己の保身ばかりを考える江戸家老たちは、これは大変と、内匠頭の弟・浅野大学(河原崎健三)にこれを報告、やはり保身に走った大学がこの嘆願書を握りつぶしてしまう。

こうして、嘆願書が幕閣に届けられることはありませんでした。

 

 

籠城戦から殉死切腹への変更。御城代の考えが理解できぬと、江戸から片岡源五右衛門(江原真二郎)、堀部安兵衛(渡哲也)、奥田孫太夫(河野秋武)の三人が赤穂に駆け付け、大石に仇討をするよう直談判します。これに大石

「上野介の首一つとるだけで、亡き殿の御無念は晴れようか?殿はきっと、この腐れ切った御政道や世の中へ抗議するために刃傷に及んだに違いない」

とし、闇雲に吉良を襲うのは「匹夫の勇」だと退けます。

 

 

赤穂城明け渡しの期日が迫り、城受取りの使者である脇坂淡路守(中村錦之助)率いる軍勢が赤穂に迫ってきました。そんな折、大石は殉死切腹に同意した六十余名の藩士たちを大広間に召集します。

 

その場にてついに明かされた、大石の本心。

殿の御無念を晴らすため、曲がった御政道への抗議のため、

 

吉良の首を取る!

 

驚きと喜びの声が上がる中、大石は集まった藩士たちに神文血判を押させます。その場にやってきた大野九郎兵衛がこれを咎めますが、大石の気迫に押されてしまい、引き下がってしまう。

大野には大野なりの忠義の想いがありました。しかし、あくまで籠城戦を主張する藩士たちの中から沸き起こった「大石暗殺計画」に大野の長男が関わっており、疑われることを怖れた大野は息子と一緒に赤穂から逃亡してしまいます。

 

 

赤穂城受取りの軍勢が到着。大石は脇坂淡路守を先導し城の中へ。

この時、脇坂淡路守を短銃で狙う者が!ここで脇坂が銃撃されれば、いくさとなるのは必至。それを狙ったものでした。

 

石垣の上から脇坂を狙う柳沢の間者。銃弾が放たれようとした刹那!片岡源五右衛門がこれを発見、間一髪これを斬り殺します。

空に向けて虚しく放たれる銃声。これに軍勢は色めき立ちますが、淡路守が「静まれーい!」とこれを一喝し、大石に案内を促します。何事もなかったように進む軍勢。

 

城受け渡しも無事に終わり、すべての手続きが済んだことで、赤穂浅野家は完全に消滅しました。大石たちは浪々の身となりました。

 

物語は次の段階へと進みます。<つづく>

 

 

 

 

脇坂淡路守の大軍勢を空撮で捉えたシーンが凄いですね。上空から延々と続く軍勢を撮るわけですから、かなり広いロケ地が必要だし、エキストラも集めなきゃならない。当時は当然ながらCGなどありませんから、全部本物で撮らなきゃならない。これを見ただけでもかなりの製作費をかけていることが分かります。

贅沢ですねえ。三船プロが倒産した理由も分かる気がします……。

 

 

ドラマの中で何度も繰り返される「士道」という言葉。曲がった御政道を糺すため、世の中の乱れた風潮に一石を投じるため、武士のなすべきこととはなにか。

抑、武士とはなんぞや?

 

それを問いかけ続ける。そんなドラマになっているような気がします。

 

とにかく、先へ進みましょう。

 

 

 

 

 

『大忠臣蔵』

出演

大石内蔵助 三船敏郎

大石りく 司葉子

堀部安兵衛 渡哲也

片岡源五右衛門 江原真二郎

磯貝十郎左衛門 長谷川明夫

吉田沢右衛門 柴田洸彦

吉田忠左衛門 中村伸郎

神崎与五郎 中丸忠雄

岡島八十右衛門 河原崎長一郎

岡野金右衛門 中村嘉津雄

竹林唯七 砂塚秀夫

萱野和助 島田順司

矢頭右衛門七 田村正和

矢頭長助 加藤嘉

大石主税 長澄修

大石三平 竜崎勝

大須賀治部右衛門 睦悟朗

お蘭 上月晃

兎助 露口茂

斉藤清左衛門 今井健二

浅野大学 河原崎健三

徳川綱吉 高橋昌也

柳沢吉保 神山繫

柳生俊方 中谷昇

千坂兵部 丹波哲郎

 

大野九郎兵衛 伊藤雄之助

 

脇坂淡路守 中村錦之助

昭和46年 NET