これは、『スター・ウォーズ』を「正しく」愛し、その溢れる愛情と情熱を才能に包んで、スター・ウォーズの世界観を「正しく」継承し、尚且つ発展させた
「正しい」スター・ウォーズ映画です。素晴らしい!!
どうもね、最近「正しく」スター・ウォーズを理解していない輩が横行しておりまして、少々腹立たしい思いをしておるのです。
スター・ウォーズを、エピソード1から順番に観るのが正しいスター・ウォーズ鑑賞法である、などという、明らかな「間違い」を、さも正しいかのように吹聴しておる輩が多すぎる!
ちょっと待ちな!スター・ウォーズの紛れもなき第1作は、1977年公開の『STAR WARS』なのだという、当たり前の事実を忘れちゃいませんかい?今でこそ「エピソード4 新たなる希望」なんて、つまらねえサブ・タイトルがついちまって、ただの4作目みたいな扱いになってるけどね、公開当初はもちろん、そんなサブ・タイトルなんざついちゃいなかったんだよ!ただの『STAR WARS』だったんでえ!
すべてのスター・ウォーズは、この「第1作目」から始まっているのです。この作品がなければ、後のアナキン・スカイウォーカー=ダース・ヴェーダー誕生秘話も生まれなかった。ep1からep3までの物語は、この「1作目」がなければ生まれなかったのだ!!
わかりますか?すべては77年公開の第1作目『STAR WARS』から始まっているのです。だから真に「正しい」鑑賞法は、いわゆるep4からep6までをまず鑑賞して、それからep1~ep3という順番が「正しい」のです。
それを安易に、ep1から観ましょうなどとぬかしおる輩は、もう1度スター・ウォーズをよおっく勉強し直して、出直して来なさい!!
新主人公レイとBB-8
さて、気を取り直しまして(笑)、なにが素晴らしいって、作品全体に溢れている、初期三部作(ep4~ep6)へのリスペクトに満ちており、正しくその世界観を継承していることです。
まあ、物語そのものが初期三部作の続きなわけですから、ある程度継承するのは当然といえば当然なのですが、そのこだわり方がなんというか、ファン目線なのですよ。
「あっ!このシーンは第1作目のあのシーンへのリスペクトだ!」「あっ、これはあのシーンだ!」「あっ!これは…」の連続で、それだけで楽しくなっちゃう。オールド・ファンには溜まらないシーンがてんこ盛りです。
オールドファンを喜ばせつつ、新しい観客には「これがスター・ウォーズなんだよ!」と強烈に伝えている、そのスター・ウォーズに対する、迸る愛情と情熱。
これが素晴らしいと言わずになんと言おう。
タイ・ファイターvsミレニアム・ファルコン
このカットを見ただけで心「震える」人は、「正しい」スター・ウォーズ・ファン(笑)
特に素晴らしいのが、帝国の残党《ニュー・オーダー》の建造した、新デス・スターの基地の内部のセットが、第1作目のデス・スターの内部セットと、その質感、ライティング等、全く同じなんです。これはオールド・ファンなら号泣ものですよ(笑)そりゃ大げさに過ぎますが。
もちろん、この作品ならではの新味な部分もよくできてます。新キャラたちもなかなか良い。
特に悪役、カイロ・レン(アダム・ドライヴァー)がいい。
彼はダース・ヴェーダーに憧れてフォースの暗黒面に惹かれたようです。そこには彼の「血」が深く関わっているのですが、それは見てのお楽しみ。
このカイロ・レン、まだ悪役としては半人前なんです。悪になり切れない部分があっていつも迷ってる。その迷いを断ち切るために……なことをしてしまうわけですが、それでも迷いを無くし切れないでいる。
フオースの力も剣の腕前も、ダース・ヴェーダーほどの圧倒的な強さには程遠い。感情をコントロールし切れず、怒りに我を忘れてあたりかまわずライト・セイバーを振り回す。まだまだ悪役としては未熟。
なだけに、今後の展開がものすごく気になる。なかなかに面白いキャラです。
カイロ・レンとストーム・トルーパーたち
その黒い仮面、黒の衣装はダース・ヴェーダーへのリスペクトか
十字型ライト・セイバーを使うカイロ・レン
東洋思想に影響されたといわれる、「フォースは宇宙の神羅万象すべてに宿る」とする、汎神論的宇宙観も健在。このフォースあってこそ、宇宙は「生きて」動いていく。
宇宙を生かし、動かしていくためには、陰と陽の相克がなければならない。
だから、フォースには「ダーク・サイド」があるのでしょうね。
今回見ていて気が付いたのですが、ダーク・サイド側には必ず「絶対的指導者」たる「個人」がいる、ということです。
帝国皇帝しかり、今回の《ニュー・オーダー》にも絶対的指導者がおり、教祖のごとくに崇められている。
これに対し、かつてのジェダイには絶対的な指導者はいなかった。意見は聞くし協力もしあうけれど、最終的な判断はすべて自分自身で行っており、決して他者に判断を委ねることがない。
成程、この点こそが、ダーク・サイドか否かを判断する鍵の一つ、か。
C-3PO & R2-D2
チューバッカとハン・ソロ
旧キャラたちも良い味だしてます。ハン・ソロ(ハリソン・フォード)もレイア(キャリー・フィッシャー)も、チューバッカ(ピーター・メイヒュー)もC3PO(アンソニー・ダニエルズ)もR2-D2(ケニー・ベイカー)も、一人も欠けていない、みんな以前と同じ役者さんが、交代することなく出演してくれている。特にハリソン・フォードが出てくれたのは有難かった。出てくれないんじゃないかと思ってましたからね。
そしてルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)。映画のラスト・シーンにようやく出てきて、すっかり老けた姿で登場しますが、フードを外してこちらを見やる姿が、第1作でオビワン・ケノービを演じたアレック・ギネスにそっくりなんです。あれも監督とマーク・ハミル双方のリスペクトによるものでしょうね。もうね、ルークが最後に出てきたとき、思わず泣きそうになりましたもん(笑)素晴らしいカットでした。
もしあのカットが失敗していたら、映画全体が台無しになってましたからね。それくらい、ルークの存在は重要なんです。
うまくいって良かった。
結論、JJ・エイブラムス監督は
あなどれん。
次作も続けて監督するのかな。ならば期待大。
スター・ウォーズ・ファンであっても、なくても、観て損はしないと、請け合いましょう。
この映画、良いです。
すっかり老けたマーク・ハミル。この髭もアレック・ギネスへのリスペクトか。
まあ、「正しい」を連呼しましたが、実際はどんなかたちであれ、自分なりにスター・ウォーズを愛してくれたら、それがその人なりの「正しい」愛し方です。
スター・ウォーズを愛する全ての方に、この言葉を捧げます。
【May The Force Be With You!】