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猪之鼻鉱山を追え

2014年04月15日 | 鉱物採集 岐阜

猪之鼻の蛍石も実物は見たことが無く、是非サンプルを押さえておきたかった。

渚鉱山を離れ北上、猪之鼻鉱山へ。







近づくにつれ、日陰に山に雪が目立ちだす。
一応スタッドレスのまま来て良かったなと。



資料によると、石英斑岩中の小塊鉱床で殆ど未出荷とある。


猪之鼻集落から谷筋へ下ると、いよいよ雪が深い。   車は諦め徒歩で出発。



深い所ではヒザ下までの残雪。   お初の産地でコレは嫌な展開だ。




「問題ない。」   碇指令が断言する。



てかココまで来たら引き返せん。





右岸・左岸ともに川を挟んで台地状になった場所に着く。
この辺りが鉱山事務所跡か?と思い近辺を探す。

平均して20~30cmの残雪を除け、腐葉土を掘るがズリに当たらない。痕跡も解らない。
しんどい。

撤退の二文字が頭をよぎるが諦めきれずに右往左往していると、半分雪に覆われた穴を右岸に見つけた。




冬月 「勝ったな。」 

俺 「ああ。」




ヘッドランプを点けて入ると、試掘坑らしく奥行きが5m程しか無い。

蛍石の脈も見当たら無い。

坑内にも下の沢にズリも無い。

嘘やろ・・・?




レイ 「ごめんなさい。 こういう時どんな顔をすればいいか解らないの。」




他に本坑が有る筈と試掘の上に同脈が無いか探すが無い。
左岸の同高度は台地だ。有っても雪で埋まった竪穴か。

台地の下、沢が湾曲する淵の奥に花崗岩が貫入した箇所があり、真砂土の崩れ方が穴の跡にも見える。



材料が雪で覆われてて、数時間の雪中探索で疲れ、何が何やら解らんくなってきた。
メダパニ。




陽は傾きだし、射る矢は尽き、心は折れた。





車に戻り、猪之鼻集落で畑仕事をしてたお婆に話を聞く。






「子供の頃、蛍石を背負って中の宿まで山越えしてたのは覚えてるよ。  緑色の石だったねえ。

この上の小屋辺りに石川から来た鉱山の技師が住んでたわ。
綺麗に更地にして、今は何も残ってないけどね。

鉱山の事に詳しい古い人は高山に移住して居ないよ。もうココには4世帯しか住んでないんよ。 」

と曲った腰で話してくれた。

礼を言って中之宿集落へ移動。





中之宿集落で当時を知るお爺に出会えた。

石が好きなお爺で、以前に隣の大倉鉱山で拾った水晶のトッコを片手に縁台に座って話してくれた。

「子供の頃、猪之鼻鉱山の方へ釣りに行くと林道沿いにも坑口は有ったんや。今は崩れて見分けがつきにくいけどな。緑の蛍石を拾って遊んだなぁ。 竪穴があり、大人に近づくなと言われたもんや。

猪之鼻から蛍石を背負って山を越えて運び、ここ中之宿で藁で編んだ俵に詰めて貯めてからトラックで運んでたな。

夜にこっそりと、その俵に手を突っ込んで蛍石を取ったりしたもんや。
もう鉱山は埋まって無かったか? 」



試掘坑は残ってたが、他は雪で解らなかった旨を告げると、そうかそうか!と穴が残ってた事に喜んではった。

「雪が溶けたらワシも覗きに行ってくるよ。その頃またおいで。」と笑顔で仰った。


いつか再訪したいね。


渚鉱山 蛍石採集  岐阜県高山市

2014年04月11日 | 鉱物採集 岐阜
今回是非訪れてみたかった古典産地の1つ。

渚の蛍石標本を自分は生で見た事が無い。

モノが出難いのか、もう無いのか。

とにかくこの目で確かめれば納得出来る。 行こう。






まず渚に着き、参考資料の久々野町誌コピーを読み直す。

明治10年富山県の人が蛍石の採掘をはじめ一時中断して、戦後は小坂町の人が経営。
昭和25年休山。 戦時中は30人近くが働き250t出鉱とある。


装備を身に付け、地図上で目星をつけた山へ入る。

が気配が無い。1時間ほど登り降りするが全く感じない。


こりゃオカシイぞ? と一旦車に戻り、再度資料を熟読する。

渚橋の上から広く全体を眺め、文面から推理して1つの仮説を立てて動く。



しばらく探し歩くと石英の散らばるズリがあった。 
ちょっと危ないシーンがあり詳細が書けないのです。





丁寧に選鉱されたようで蛍石が見当たらない。 

枯れ葉を除けつつ目を三角にして探し、やっとご対面。

君が渚の蛍石か。はじめまして。



UVでも光る





しつこく掘ればまだ出るだろうけど、猪之鼻鉱山も周りたかったので昼で切り上げ。

渚集落に鉱山の話を聞きに行く。


「青い石か、あぁ、懐かしいなぁ。ワシも子供の頃手伝ったもんや。」

「今はもう穴は崩れて埋まってたやろ?」

「子供の頃は鉱山から出る白い水で歯を磨いてね。渚の子供たちは虫歯が無く優秀やったんよ。」



なるほどフッ素か!と面白い話を聞く事が出来た。これは初耳だ。

礼を言い猪之鼻へ向けて車を走らせた。




北仲・高野鉱山 蛍石写真

2014年04月10日 | 鉱物写真 蛍石
比較的、紫色の蛍石が多目の産地だと思う。

脈状ながら、緑と紫の混じり合う様は綺麗。

まぁ そうゆう所を選んで叩いたけども。


銅山系の脈石のような色濃さ。逆にいえばチョイ濁り。

これはこれで良いではないか。


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以下別窓  拡大できます。




北仲鉱山産 蛍石



















高野鉱山産 蛍石












高野鉱山  蛍石 

2014年04月09日 | 鉱物採集 岐阜

北仲を出て 次に高野鉱山へ向かう。

赤樽谷(現うぉっちずでは”ガッパ谷”)沿いに1km前後で着くはず。

ダラダラ登りをトコトコ進む。




この辺りは水が本当に美しい。

植林も少なく、鉱山の遺構も見当たらない。 

普通もっと石垣なり台地なり人の営みの痕跡が感じられるのに、ここはソレが薄い。

銅山やったらこうはイカンやろけど、きちんと片づけて人が近づずかずに数十年経つと

自然は人の痕跡を希釈して水に流していくようだ。


ゴミ1つもアカンなと戒めて進む。




先の資料では「高野鉱山は赤樽谷中流の両岸にある」とアル。

2つ目のヘアピンから谷筋へ下りる杣道がついており、下りると右岸側に穴が見えた。

近づいて行くと、その先左岸側にも穴が見えた。




これか。





再び合羽とヘッドランプをザックから出す。 この穴はしっかりした感じだ。





が、試掘ぽい。 奥行きもほとんど無い。

右手に細い紫色の蛍石脈を追った跡があったが、規模は先の北仲程ではない。







石はこっちのほうが多少透明度が良い気がする。





丁寧に見て回るがイマイチ。 出て左岸側へ向かう。



滝壺の横にポッカリと大き目の穴が開いている。 が沢を進む以外に杣道が無い。




雪解けの増水か、長靴では水没する水量だ。

岩肌にへばり付いて、手足を伸ばしてギリギリ滝壺をクリア。 足長くて良かった~



あの子やあの人は足の長さ的に無理やろなー

あの人は落ちるやろなー

などと考えながら坑口へ。






滝の真横だけあって坑内も漏水が激しい。 崩れた跡も多い。

ココも試掘レベルか奥行きはしれてる。

UVで照らし脈を探すが良い物は少なかった。 むしろ足元のズリの方に蛍石は多かった。

濡れたズリをかき分けドロドロになりながらマシな石を探す。






こんなもんかな。 やはり資料通り結晶質では無い。

ここも綺麗やけど、目の覚めるベッピンとまではイカン。





一番大きかっただろう山県鉱山も多分同じ石だろうし今回はヤメ。

荷物をまとめて再び5km戻ってゲート前の集落へ着くとお爺が心配して待っててくれた。


礼を言い、土産に蛍石を渡すと「おーコレやコレや! まだ残ってたか!」と喜んでくださり、



「子供の頃、仲越の辺りは国有林でな、切り出した木を馬ソリで引いて出してたんや。

最初の頃は木の上に蛍石を積んでココまで下ろしてたが、大垣のゴウさんって方が鉱山からココまでレー

ルを敷いて、3m程ある大きな機関車で引こうとしたんや。

ところがレールの路盤が悪くて1往復しただけで辞めたんや。」


遠い目で山の方を眺めたり、懐かしみながら数十年前の記憶を紐解き語ってくださった。


「また寄ってくれな」


と仰るお爺にもう一度礼を言い、集落を後にした。


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探索なされる場合、十二分に気をつけてください。

携帯は勿論圏外。最寄りの集落まで5km以上離れており人も立ち寄らず熊も出る地域です。

ソロで大きな怪我などしてしまうと救援要請も難しいと思います。


北仲鉱山 蛍石採集

2014年04月08日 | 鉱物採集 岐阜

岐阜には多数の蛍石鉱山が過去に稼行しており、何となく疎遠だった平岩~登尾のようなメジャーから名丸等のマイナーまで、実際にこの目で見てみたかった。


大阪では桜が咲き始めた。 岐阜山間部でも雪は溶けてるだろう。

何よりヒルが出る前に行かねばならぬ。


岐阜県蛍石ツアー はじめました。








まずは北仲鉱山へ


岐阜県山縣郡美山村地内の蛍石鉱床 上野三義 地質調査所月報 Vol.14 No.5 (1963)

によると、S33頃 月産10tの出荷をみたとある。 



冬季ゲート手前の集落で鉱山へ行くのに駐車をお願いすると快諾してくれた。


お爺

「このゲートから仲越集落跡までは5km程あるぞ。今は無人で山仕事の人が立ち

寄る程度やぞ。そういえば2年ほど前にも鉱山探しに人が来て、鉄砲撃ちが一緒に探し

に行ったが解らずじまいで帰ってきたぞ。 

一人で大丈夫か? もう崩れて無いのとちがうか?」

と心配してくださった。 




ダメで元々行ってみますわ!と出発。 

資料ハッキリしてるし多分イケるやろ。




仲越から赤樽谷にそって更に林道を進み、この沢の上か?って出会いに到着。

沢は3m程のガケになっており滑って足場悪い。下の転石をチェックするがズリは見当たらず。

まぁココやろ?と横の植林から巻き、沢を少し上がると左上に坑口。 よっしゃ。



入口に立つと花崗岩の風化が気になる。 ちょっと脆いが行ってまえ!

ザックから合羽とヘッドランプを取り出して出動。




坑内のアチコチに薄い石英と蛍石脈が走ってる。 綺麗や!

ほとんどは1cm前後だが、ガマの部分は5cm以上の厚みも。 嬉しなる!!





ちょろっと叩いて一旦外に出てチェック。 

色は濃いが透明度は低目。 この子スッピン普通や・・

坑道内では濡れとるしヘッドランプに煌いて綺麗やねんけどなぁ。。 夜の蝶か。。


脈状ばかりで結晶部を探すが探すが見当たらず。

無いもんは無いんか。 旨いもんは旨いて鶴瓶も昔言うてたしな。






ブサイクでも特別ベッピンでもない、「あぁ 可愛いんちゃう・・かな?」って蛍石。

黒毛和牛入りコロッケ!を食べて、「あぁ、そう言われたら・・うん。」 って。


そうゆうこと。


出会えただけ有難い事じゃ 贅沢言うな! と次の高野鉱山へ向かうとゆうこと。


紀州鉱山産 蛍石 

2014年04月01日 | 鉱物写真 蛍石
紀州鉱山産 蛍石

上川にて採集。

サイズ 約 170*110*100mm

蛍石の自形結晶が一面に乗る。

黄銅鉱・黄鉄鉱・閃亜鉛鉱が混じってて結構重いサンプル。

再結晶した細かい水晶が光を反射して輝くのもイイ。




太陽光で蛍光。 大塔より蛍光度合いは強いと思う。 




6面体や、結晶が嬉しい。




UVにて






先の脈状のを割って。




閃亜鉛鉱と蛍石が入り組む。