北仲を出て 次に高野鉱山へ向かう。
赤樽谷(現うぉっちずでは”ガッパ谷”)沿いに1km前後で着くはず。
ダラダラ登りをトコトコ進む。
この辺りは水が本当に美しい。
植林も少なく、鉱山の遺構も見当たらない。
普通もっと石垣なり台地なり人の営みの痕跡が感じられるのに、ここはソレが薄い。
銅山やったらこうはイカンやろけど、きちんと片づけて人が近づずかずに数十年経つと
自然は人の痕跡を希釈して水に流していくようだ。
ゴミ1つもアカンなと戒めて進む。
先の資料では「高野鉱山は赤樽谷中流の両岸にある」とアル。
2つ目のヘアピンから谷筋へ下りる杣道がついており、下りると右岸側に穴が見えた。
近づいて行くと、その先左岸側にも穴が見えた。
これか。
再び合羽とヘッドランプをザックから出す。 この穴はしっかりした感じだ。
が、試掘ぽい。 奥行きもほとんど無い。
右手に細い紫色の蛍石脈を追った跡があったが、規模は先の北仲程ではない。
石はこっちのほうが多少透明度が良い気がする。
丁寧に見て回るがイマイチ。 出て左岸側へ向かう。
滝壺の横にポッカリと大き目の穴が開いている。 が沢を進む以外に杣道が無い。
雪解けの増水か、長靴では水没する水量だ。
岩肌にへばり付いて、手足を伸ばしてギリギリ滝壺をクリア。 足長くて良かった~
あの子やあの人は足の長さ的に無理やろなー
あの人は落ちるやろなー
などと考えながら坑口へ。
滝の真横だけあって坑内も漏水が激しい。 崩れた跡も多い。
ココも試掘レベルか奥行きはしれてる。
UVで照らし脈を探すが良い物は少なかった。 むしろ足元のズリの方に蛍石は多かった。
濡れたズリをかき分けドロドロになりながらマシな石を探す。
こんなもんかな。 やはり資料通り結晶質では無い。
ここも綺麗やけど、目の覚めるベッピンとまではイカン。
一番大きかっただろう山県鉱山も多分同じ石だろうし今回はヤメ。
荷物をまとめて再び5km戻ってゲート前の集落へ着くとお爺が心配して待っててくれた。
礼を言い、土産に蛍石を渡すと「おーコレやコレや! まだ残ってたか!」と喜んでくださり、
「子供の頃、仲越の辺りは国有林でな、切り出した木を馬ソリで引いて出してたんや。
最初の頃は木の上に蛍石を積んでココまで下ろしてたが、大垣のゴウさんって方が鉱山からココまでレー
ルを敷いて、3m程ある大きな機関車で引こうとしたんや。
ところがレールの路盤が悪くて1往復しただけで辞めたんや。」
遠い目で山の方を眺めたり、懐かしみながら数十年前の記憶を紐解き語ってくださった。
「また寄ってくれな」
と仰るお爺にもう一度礼を言い、集落を後にした。
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探索なされる場合、十二分に気をつけてください。
携帯は勿論圏外。最寄りの集落まで5km以上離れており人も立ち寄らず熊も出る地域です。
ソロで大きな怪我などしてしまうと救援要請も難しいと思います。