入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’24年「夏」(23)

2024年06月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  東の空の雲間から青空がのぞいている。午前6時、囲いの中の牛たちはすでに行動を開始し、今1頭の乳牛が「モウー」、なんともヨロヨロしそうな気の抜けた声を聞かせてくれた。
 
 昨日、「問題のないことを確認済み」と呟いたのは、第2牧区内及びパドックに入れた和牛も含め、雨の降る中を全頭の確認ができたというだけのことで、それで終わったわけではなかった。
 午後になってまた様子を見に行けば、南信から来た14頭のうちの1頭が、第2牧区のゲートの先で横になったまま動こうとしない。今朝も目が覚めて真っ先に見に行けば、昨日と全く変わらない状態のままだ。
 さらに、この28番も一緒だった群れの7頭は、やはり昨日と同じ場所にいて草を食んでいるようには見えない。恐らく、入牧前に必要な牧草馴化ができていないということだろう。
 雨に濡れた草がもう少し乾いたら、この牛たちには栄養剤を入れて配合飼料を持っていくしかないが、しかし横になったままの28番の回復はあの様子では期待できそうにない。
 
 入牧してまだ5日目である。2日目にして脱柵したり、逃避行をしたり、そうかと思えば体調不良の可能性が高い牛、草を食べようとしない牛などなど、問題ばかりだ。前日の「問題なし」の呟きを訂正しなければならない。
 きょうは月曜日、肉牛の出荷がある日で畜産課の職員も忙しい。できればそれが終わってから連絡を取るつもりだったが、こっちも急ぐ。出勤前のO君に連絡を取り、取り敢えずこっちの事情だけは伝えておいた。

 台帳を見れば動けないでいる28番は平成7年の生まれだから・・・、調べると2015年、9歳である。「繁殖牛」と言って、肉牛を産むためにこれだけ長生きができたのだが、そうでなければとっくに人間サマの口の中に入っている。
 あの牛28番も、お役目を終えればいずれはそうなる運命だが、久しぶりに焼き肉にありつけて「オイシー」と黄色の声を上げるあの人たちには、そんな牛のことなど想像もつかないだろう。

 小鳥の声がする。きょうの天気は曇りながら雨は降らないという予報になっている。どこから、どうやって囲いの中へ入ったのか2頭の鹿を、ジャージーが追いかけて遊んでいる。目の前の平和そうに見えている牧の光景だが、なかなか重い一日の始まりとなった。

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 本日はこの辺で。


 

 
コメント
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