「曇りが一日続きます」だと。一昨日の天気予報では昨日以上の、文句のない晴天のはずだったきょうがそうならず、昨夜辺りから雲が出てしまっていた。新登場するはずの星の狩人も予定が変わり天体観測は中止となった。折角来ても獲物は期待できなかっただろうから、彼らにとってはそれでよかっただろう。
この独り言には天気の話題が多いと言われることがある。確かにそうだと自分でも感じているが、屋外が仕事の中心である以上はどうしてもそうなってしまう。また、山小屋やキャンプ場は天気の影響を受けるから、予報が外れた場合は心静かではいられない。
もうすぐ梅雨の季節を迎えるから、予報は難しくなるだろうし、その一方で人々は今以上に天気予報を頼りにするに違いない。当然ながら、外れれば文句や不満もその分増えるだろう。
小屋の客5人は二手に分かれ、3人はテイ沢へ、他の2名は山梨の白州方面に出掛けて行った。彼らと別のもう1名は、やはりコナシやクリンソウの花を写真に撮りたいと言って、長靴も用意した上で、ハテどこへ行くと言っていただろうか。
今年はコナシが最盛期を迎えるころ気温が上下し、遅咲きや早咲きの花の足並みが揃ったような気がする。その上、きょうのこんな曇天の天気が、却っていい雰囲気の静けさを生み出しているようだ。
昨日は追い上げ坂の中段に電気牧柵を張った。電圧は6500ボルトほどあり、まずまずである。
今年もここに乳牛をしばらく置き、白いリボンワイヤーに触れれば強烈な衝撃を喰らうことを彼女らにしっかりと学習させる。それから隣の第2牧区へ移すことになるが、昨年もそうしたことで、牧区の一部に張った電気牧柵が破られることはなかったし、鹿も飛び越えてはいただろうが切ることはなかった。
牧柵を点検したり、修理したりしていると、山歩きをしているような気分になる。近くを流れる谷川の音、鳥の声を遠くに聞きながらもひたすら仕事に専念するわけで、体力は使うが、苦痛ではない。そこが山歩きと似ている。
何年も前に修理した跡がその時の記憶を甦らせてくれたり、鹿の通り道を目にすれば罠の一つもかけてやろうかといった敵対心が湧く。
誰もいない草原に、あるいは林の中の一隅にいい時間が流れる。
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本日はこの辺で。