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『フェルマーの最終定理』サイモン・シン

2012-02-26 | 読書
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何度か記事として書いてきた<フェルマー予想>だが、もっと突っ込んだ書籍をがっちり読んでみたくなった。
ことわっておくが、ぼくは数学が一番苦手で高校の時文系コースを選んで以来できるだけ避けてきた。それがなぜかいい年になってワクワクさせるのだから不思議だ。

さて、知らない人のためにお浚いしよう。

n≧3のとき、
n+n=n
を満たす、自然数 X、Y、Zは存在しない



今日の数論の中では素人でもわかりやすい部類だろう。
n = 2 の場合、<X=3,Y=4,Z=5>これはつまりピタゴラスの定理ということになる。

17世紀のフランスの法律家ピエール・ド・フェルマーにとっては、数学は趣味の一つといっていいだろう、けれど侮れないのはこれ以前にも様々な実績を残していて偉大な数学科や物理学者に多大な影響を与えていること。で、この「最終定理」を大々的に発表したのではなく、自分の書籍の片隅に書き残していた。以下のように。

この命題について、真に驚くべき証明方法を私は発見した。だが、それを書くには、この余白は狭すぎる。


正解を示さないままに他界した。嫌味なやつだ。これ以外にもいくつかの難問「定理」を残し、その魅力から数世紀にわたり数多の数学者が解いてきた。そして解かれぬまま最後に残ったこの定理を「フェルマーの最終定理」と呼んだわけ。

先に示したように、ぼくは必ずしも数学に明るくは無いので、1ページずつ舐めるように読み進む有様でそこそこ時間がかかった。つまり時間がかかっても飽きない本であるとも言えよう。著者のサイモン・シンは今までにも『ビックバン宇宙論』や『暗号解読』を読んでその文体には信頼を持っている。
難しい話を極力わかりやすく、ときにエキサイティングにときにしんみりと、名人芸と言える。

この世紀の難問を征服した現代の天才アンドリュー・ワイルズが本著の主役ではあるが、「最終定理」をよりわかりやすく示すためにピタゴラスから話を始める。正直紀元前のピタゴラスのあたりが一番理解しやすく、時代を下るに連れ難解になっていく。
ワイルズが解答に至る際に「谷山・志村予想」ってのが重要な鍵となる、「楕円方程式」と「モジュラー形式」の関連性についての予想、ってぼくもちゃんと理解したわけじゃない、難しすぎるって。それよりこんな所に突然日本人が出てきたのもうれしかったってのが凡人の素直な感想。

ワイルズはそれまで7年の歳月をかけて研究し1993年に「フェルマーの最終定理」に対する証明を発表する、当時世界的な盛り上がりを見せたそうだ。ちっとも知らなかった。ワイルズは一夜にして世界的数学者&有名人になった。
そしてそれが本当に正しいかどうかを優秀な数学者が吟味する、これが時間がかかる。やがて「矛盾が一箇所」発見され、それに対して有効な返答をしなくてはならないが、なかなか解決できない、徐々にマスコミが騒ぎ出し「誤証明か?」って推測記事が出だす。ここらへんがスリリングで読み応えがあった。

できるだけ短くまとめようと思ったのに気がつけば長々と意味難解な文章。知らず知らずつい熱が入ってしまう。それだけ面白い本だと、そういうことですw


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