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欠史八代(歴史覚書き)

2015-09-12 | 歴史
日本の天皇制は色んな意味で特殊で世界に類例を見ないことはご存知だろう、今上天皇は125代目という異例の系譜を積み重ねている。政権交代すると必ず王が殺されるのが他所の国では普通だから。

だがしかし、2代目から9代目まではその存在を疑われている、「欠史八代」とはこの8人の天皇のことで最初に疑問の声を上げたのは歴史学者・津田左右吉。
戦前のことだから不敬罪に問われのだとか。

初代天皇は神武天皇、「神武景気」とか「神武以来の天才」とか、そういう使われ方をしてるので知ってるかな。

で2代目=綏靖、その後、安寧・懿徳・孝昭・孝安・孝霊・孝元・開化と続く。
戦前・戦中に教育受けた人はこれを「じんむ、すいぜい、あんねい、いとく・・・」って諳んじてたんだと!

それぞれ帝紀や日本書紀に名前・年齢や在位期間などが記録されてるが、活動記録が一切ないのがこの欠史八代の王たち。しかもとんでもなく長生きだったり初代神武と10代崇神の称号がどちらも「ハツクニシラススメラミコト」(=初国統治天皇)だったり、要するにかなりいい加減。

これらの8人の天皇は中国の革命思想(辛酉革命)に合わせることで、皇室の起源の古さと権威を示すために偽作したという推測がある。
辛酉とは干支のひとつで中国では革命の年とされる。21回目の辛酉の年には大革命が起きるとされ、日本では聖徳太子が政治を始めた601年が辛酉の大革命の年である。すると21×60=1260よりAD601-1260=BC660(西暦0年はない)が神武天皇即位年と算出される。この1260年間を9人の天皇で按分して・・・

ああ、こりゃだめでしょ、ウソでしょ。

って思うでしょ?

でも世の中には「いや、実在したのだ!」って言い張ってる人もいるのだとかw

不自然な長生きは、古代において半年を1年と捉えていたという説があり、これに則れば自然になる。
初国統治天皇も王朝交代があったと考えればそれぞれの王朝の初代と考えられる。まあそうなると125代皇室が繋がってたわけじゃなくなるのだけどね。

3王朝交代説ってのもあって諡(おくりな)に「神」が入っている天皇=神武・崇神・応神はそれぞれ別王朝の初代だと。王朝を起こしたから「神」なんだと。なるほど。

まあいずれにしろ欠史八代について、全くのデタラメとも思えなくなってきた。血のつながりはなくても何らかの存在があってそれを記録したと考えるほうが素直な解釈だしね。

といったわけで、日本史面白くて仕方ない。