
さて0時に神主さんによる神事が行われ、引き続いて0時半より『翁』が上演されました。当地での「翁神事」は三番叟こそ上演されませんが、笛と小鼓三人のお囃子方はご出勤頂いて、本格的な『翁』の上演です。お笛の赤井啓三師と小鼓頭取の大倉源次郎師はもう30年間もご自宅で新年を迎えたことがないという… (;^_^A
観世流の『翁』では翁と千歳の役がシテ方の担当で、面箱持ちは狂言方が勤めることになっています。がしかし、当地では三番叟は演じられないため、便宜的に下懸リの『翁』のように千歳が面箱持ちを兼ねることで上演を続けております。ぬえも千歳の披キはこの丹波篠山の「翁神事」でのことで、そのときもやはり面箱を持って出、面箱さばき…すなわち舞台上で座に着いた大夫の前で面箱から翁面を取り出して、裏返した面箱の蓋の上に置く作業を致しました。師匠とはいえ大夫の前、お客さまが注視する中でご神体である翁面を扱うのは緊張しますね~。狂言方が面箱を勤める際は、大夫…つまりシテ方の先生の前でその所蔵になる翁面を扱うのですから、緊張は ぬえの経験の比ではないでしょう。
さて今回の ぬえは『翁』の後見でしたから、楽屋でも大忙し。翁飾りを作り、翁の装束の着付け、翁面を面箱に納め、上演の直前には出演者一同が行う盃事の取り仕切りをし… そうして面箱(千歳)、大夫、囃子方に続いて舞台に出てみますと、なるほど、小雪が舞っているのが目に入りました。寒さはもう…これはどうしようもないですね~。しっかり素袍の下は厚着をして、カイロを貼って準備万端でしたが、やっぱり寒いものは寒いっす…
大夫が正先で拝礼をして、笛柱の前の座に着くと、角で控えていた面箱が大夫の前に面箱を置いて面箱さばきをします。これが終わるとそれまで橋掛リに控えていた囃子方・後見・地謡が一斉に立ち上がって舞台に向かいます。ぬえも囃子方の後方を通って大夫の後ろに座り、お囃子方が打ち出して、まずは手早く装束を整えてから千歳之舞を待ちます。この千歳之舞のなかで大夫が翁面を掛けるのですが、千歳之舞が颯爽としているので、お客さまの中には大夫が翁面を掛けるところを見逃す方があるようですね。後見としてはここが一番の難所で、ここで失敗するわけにはいかないので非常に緊張するところです。
舞台の上で面を掛けるのも『翁』だけなら、その面紐の結び方も『翁』だけは独特で、常のような駒結び(一般的には「堅結び」というヤツです)ではなく、花結び(「蝶結び」)に結びます。これは『翁』が終わって大夫が面を外すときに、面紐がすぐに解けるようにそうするのですが、駒結びで結ぶ場合よりもほどける危険があるわけですし、そのうえ真冬の夜中の野外…手がかじかんでしまっては大失敗に繋がるので、お客さまにはわからないように、ぬえはずっと手をこすり合わせて暖めていました。結果、ちょっと結び方に工夫も考えてあったので、無事に面紐を結ぶことができました。
…が、長い能楽の歴史の中では失敗も起きたことがあるのではないかなあ。『翁』で大夫が掛けた翁面の面紐が途中でゆるんできちゃったら…どうなるんだろう。…考えてはみたのですが、これはどうしようもないですね。そうなったら大夫は後ろを向いて着座でもして頂かないことには直しようもない…考えただけでも恐ろしいことです…(×_×;)
さて面紐を無事に結び終えると、後見の仕事はほぼ完了に近いところまできたことになります。あとは大夫が面を外す「翁還り」まで仕事はないので、ようやく安心して、しかし翁面がゆるんでくることはないか、装束が烏帽子に引っかかるような事故はないか、と気を付けてはおります。
どうやら無事『翁』の上演が全うできそうだ、と思ったとき、ようやく落ち着いて それとなくあたりの様子を窺ってみると… う…。雪が舞台の中にまで降り込んできていますよ? をを~、脇座に両手をついて控えている千歳に雪が積もってる…(・_・、) 着座しているまわりはもう真っ白です。ありゃりゃ~…
…と思って よく見ると、ぬえの素袍の左袖にも雪が積もって、氷が張り付いていました。をを~っ。(゜_゜;)
しかし舞台に横殴りに鋭く吹き込んでくる細かい氷のような雪は、照明に照らされてきらきらと輝いて ぬえの前を矢のように飛んでいきます。これは本当に美しい光景でした。舞台上ではありましたが、しばし見とれてしまった ぬえなのでありました。
『翁』自体は約30分しか上演時間は掛かりません。深夜1時頃に上演を終え、楽屋の片づけをして、そうしてもう車に乗って東京へ向かって出発です。ん~、丹波篠山にいた時間は10時間ちょっと。(^_^;) それでも充実した新年を迎えることができました。ぬえにとっては年始より『翁』の後見という大役を頂き、それを無事に全うできたことが とってもうれしかったです。今年は良い年になりそうだ!

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ぬえ先生の奥様の3学年上の 酒飲みの方が分かりやすかったかもしれないですね。ぬえ先生が能研教えた最初の年に舞囃子やってた学年の者です。よく考えてみたら学生のころ伊豆の話を先生とした記憶なかったです。今週末も伊豆に行かれるという事はコメントで話題になってた どんどん焼き見にいかれるのですか?実家のカレンダーに9日「お飾り集め」10日「どんどん焼き」と書いてあったもので。昔は1月15日だったのですが 時代は変わりました。もし行かれるのでしたら 早朝は寒いので 厚着してった方が良いですよ。火に当たる方は熱いのですが 火に当たらない方の体の面はかなり寒くなります。特に耳が冷たくなるのでフードのある服か耳あてを用意するのをおすすめします。それから竹に刺したお団子も調達するとより楽しめます。今はスーパーでも 売ってるようです。昔は 手作りだったのに時代は変わりますね。変わったといえば お飾り集めの様子も変わりました。以前は子供だけで地域を歩いて回ったのに 今は子供会の役員さんの車で集めて回ってるようです。家によってはお駄賃をくれる人もいて 帰りにお菓子を買い食いするのが 楽しみでした。
お気をつけて伊豆にいってらっしゃいませ。それでは失礼いたします。
葉智さんの正体は…その情報をもとにして考えると、旧姓:かをりちゃんしか考えられないんだが…合ってます?
さて「どんどん焼き」ですが、その後情報を仕入れました。ぬえが当地で聞いたのでは「どんど焼き」という名称でしたけれども、その名前が葉智さんが言うのと食い違うように、風習としても、また実施時期についても当地の各地区によってかなり違いがあるようです。
もう、早い地区では正月4日頃に執り行うところもあるようだし、葉智さんのご実家と同じく10日のところも、またその1週間後の17日というところもありました。
また古奈地区では3色の団子を竹の串? に刺して焼くそうで、これを聞いた他の地区の方が「ええ~っ!」と驚いていました。意外にご自分の地区以外の風習はみなさんご存じないようです。
それと書き初めで書いた半紙を、この時に焼くのだそうです。焼かれた紙が空に高く舞い上がると、その子どもは習字が上達するんだとか。
いろいろあるんですね~。1月末に古奈で「ぬえ祓い祭り」があって、これは ぬえとしては一度見ておきたいと思って楽しみにしていたのですが、残念ながら今年は雨で屋内会場に変更されてパレードはなくなってしまい、当地から連絡を受けた ぬえはやむなく行くのを諦めました…