
もう みなさまにはとっくにご存じと思われますが。(^◇^;)
来る8月23日(土)に静岡県・伊豆の国市で『狩野川薪能』が開催されます。
もう9年にもなるのですね~。ぬえは第1回目からお手伝いさせて頂いておりますが、囃子方・大倉流大鼓の大倉正之助さんの発案で始まったこの薪能、なんといっても最も注目すべきなのは、地元に伝わる民話をもとにした新作の「子ども創作能」が上演されることで、題材も地元民話なら、登場する役者もみんな地元の小学生。なんと囃子に合わせた地拍子謡をする地謡まで全員地元の小中学生です。
今年は、もうこれで4回目の上演となる『江間の小四郎』を上演しますが、この曲自体も毎年少しずつバージョンアップを図っておりまして、さらにこの薪能では以前に上演していた『城山の大蛇』に引き続いて第2作目の「子ども創作能」となります。
毎年、能なんてもちろん見たこともない小学生に演技指導をつけるのですが、冬から指導を始めてもう初夏になる頃にはみ~んな立派に役を勤められるようになっています。もう、その記憶力を ぬえにくれ~~!って毎年思いますね。今年はどちらかというと みんな恥ずかしがり屋なのか、ちょっと声が出ていない状況がずっと続いていますが、先日市内の小学校で行われた「古典芸能教室」という名の中間発表会ではじめて小学生のお客さんの前で演じてみて、それから少しずつみんなの意識も変わってきたように思います。当日の検討に期待。
また、今回子どもたちは大小鼓の連調(小2~4年)、笛の連管(小4~中2)、そして仕舞『吉野天人』(中学生)でも出演し、古典の曲目にも挑めるようになってきました。まあ、「子ども創作能」はどうしても小学生が飽きないようにチャンバラの場面を入れるのは鉄則で (^◇^;)、それだけに、そこだけを楽しんで伝統芸能のエッセンスに気づいてくれないのは困ります。薪能もだんだんと数を重ねるうちに、ぬえも古典の曲目にも挑戦してほしいと願っていましたが、ようやくここまでたどり着くことができました。もっとも ぬえは自身はおかげで連調・仕舞・子ども創作能と、舞台に出ずっぱりなんですけども。
さて子ども能のあと、第二部として、玄人の狂言と能も演じられます。ことに玄人能は ぬえがシテを勤めさせて頂いておりますが、毎年必ず子方が登場する曲目を選んでおりまして、これまた伊豆の国市の小学6年生の中から一人を抜擢して勤めさせています。今年の上演曲『嵐山』は。。じつは子方を見せるために選んだ曲でしたね。シテよりも子方の方がずっと目立つし。(;^_^A
毎年、このプロの能に交じって出演する子方の稽古では様々な人間ドラマが生まれます。当日までに必ず涙にくれる日が一度はある。。そして東京に来て真剣な目をしたおっかない大人(←能楽師 (^◇^;)に交じって臆せずに申合(リハーサル)を勤め、ついに当日は立派に役をこなすのです。ぬえはこの薪能で「人生」を学んでいます。小学生相手に? と笑うなかれ。だから ぬえはどうしても子方の出演する能を選ぶことだけは外せませんですね。
で、今年の『嵐山』。もうすでに これもみなさんお馴染みの(笑)綸子(りんず)ちゃんが子方の「勝手明神」を勤めます。彼女のことはもう何度もブログで紹介しているし、意外な反響も頂いております。薪能出演者の中でこのブログを読んでくださっている方の中には、ぬえが綸子ちゃんの事ばっかり書いてる! と思う向きもあるかも知れませんが、やはり今年の綸子ちゃんも大変な苦労をしました。何度も ぬえは厳しい事も言ったし。。「悪いけど、今日は0点だよ」まで言い放ちましたね。それを克服した綸子ちゃんは賞賛されてしかるべきと ぬえは思います。
ぬえが綸子ちゃんに課した課題は「子ども創作能」に出演する子の比ではなかったし、「一度お役を引き受けたら、もう後戻りはできないよ」という事を納得してもらってから稽古を始めたので、もう覚えるしかなかった。こんなに難しいの!?と思っても、もう「辞めたい」とは言えない。。「子ども創作能」のみんなが楽しんでいるときに、綸子ちゃんだけは一時はだいぶつらい顔つきをしている、という場面が続きました。でもその次の稽古にはまた笑顔で登場した綸子ちゃん。いまは、早く師匠にこの成果を見て頂きたい、と思うほど上達しました。正直に言って能楽師の子弟の芸と遜色がないレベルにまで到達した。これは薪能で地元の子どもを抜擢して以来、最高の仕上がりと思います。
あとは、安心してしまってその稽古の成果としてのレベルを下げないこと、ですね。もちろん、これからも ぬえは指導しますし、それは薪能の当日が近づいてきたらかえって厳しくなってゆくでしょう。でもまあ、彼女なら、やってくれるんではないかな、と思います。
どうぞ子どもたちの稽古の成果を温かい目で見守ってやってくださいまし~~
『第9回 狩野川薪能』
平成20年8月23日(土)午後6時~8時半
於・伊豆の国市 狩野川 城山河川敷特設会場
(雨天時はオクシスかつらぎ=長岡総合会館)
【第一部】
大小鼓連調『高砂』 … 地元小学生 謡= ぬえ、桑田貴志
子ども創作能『江間の小四郎 ~波頭の出~』 大 蛇= 渡辺隆貴
小四郎= 安井千早
安千代= 川口真澄
従 者= 千賀朱夏・野口百夏
仕舞『吉野天人』 … 地元中学生
連管『中之舞』 … 地元小中学生
【第二部】
狂言『蚊相撲』 シテ(大名) 三宅 右矩
アド(太郎冠者) 大塚 出/小アド(蚊ノ精)三宅 近成
能 『嵐 山』 前シテ(尉)/後シテ(蔵王権現) ぬえ
ツレ(姥) 桑田 貴志
子方(勝手明神/子守明神)増田綸子・八田和弥
ワキ(勅使) 森 常好
笛 寺井宏明/小鼓 久田舜一郎/大鼓 大倉正之助/太鼓 三島卓
後見 梅若紀長ほか /地謡 中森貫太ほか
主催/NPO法人伊豆の国ルネサンス 狩野川薪能実行委員会
共催/伊豆の国市能友の会
後援/伊豆の国市 伊豆の国市教育委員会 伊豆の国市文化協会
国土交通省中部地方整備局沼津河川国道事務所 静岡新聞社 静岡放送
K-MIX ボイス・キュー 伊豆日々新聞 伊豆の国観光協会
舞台協力/茨城県明野薪能実行委員会
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
◇全席指定 3,000円
◇チケット販売所 伊豆の国観光協会 TEL 055-948-0304
大仁観光案内センター 0558-76-1630
※ ぬえ宛メールにてもお申込を受け付けます。良席が確保できるかも!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます