ぬえの能楽通信blog

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ふたつの影…『二人静』(その13)

2014-07-28 07:17:30 | 能楽
先週からいよいよ『二人静』の稽古もクライマックスになって参りまして、まずは月曜に師匠にお稽古をつけて頂き、昨日の土曜日にはお囃子方の来演を願って稽古能がありました。

師匠の稽古は横浜での催しのあとの夜で、催しがちょっと長丁場だったので面は掛けずにお稽古をつけて頂きました。本当はお互いに相手が見えない状態で如何に舞を合わせられているか、を見て頂くので、稽古でも面を掛けているのですが。。この日は催しのあとの疲れもあるので勘弁して頂きました。

お稽古の結果は。。歩数を1箇所直されました~! もうガチガチに決めてあるので歩数が変わるとその部分だけもう一度動作のタイミングを組み直しになり。。覚え直しになってしまうのですが、まあそれはすぐに対応しました。むしろ師匠から頂いたお言葉で最も印象深かったのは「気持ちがちゃんと伝わるように舞いなさいよ? 能なんだから、少しくらい舞が合わなくても、気持ちが伝わっていることの方が大切だ。」。。というものでした。ん~、これまでいかに動作をシンクロできるかに目標を絞ってきたけれど。。

先日の稽古能のあと師匠の稽古日だったので、久しぶりに師匠の生徒さんとお話しする機会がありまして、この師匠のお言葉をお話ししたところ、「要するに両方ともあるのが理想なんでしょうね」と仰られまして、なるほど、そういう事なんだろうと思います。たしかに能で技術論ばかりを追求するのは まるっきり見当違いで、今回もそこに、これまで ぬえが語ってきた静の悲しみとか業というものが現れてこなければ上演する意味そのものがなくなってしまいますね。これは相手のあることなので、シテともよく話し合っておこうと思っています。

さて稽古能では面も掛けましたが、装束のうち上に羽織る長絹だけは着て演じてみました。
クセの中で1箇所、長絹を着ているために扇の扱いが難しい型があるため、でもあったのですが、やはり相舞はアクシデントがいつ起こるかわからないので、本番の上演に向けて一度、それに近い状態で演じておこう、という思いがありましたので。。

さて相舞のシンクロですが(それだけじゃダメ、と言われたばかりですが)なかなかの完成度には近づいてきたようには思います。が。。やっぱりどこかしら間違えるんですよね~。二人のうちどちらかが。やはり40分の間の動作なので勘違いも起きてきますし、集中力を途切れさせず型を合わせるのは至難。。いまはたまたま舞台やその稽古が多い時期なので仕方がなかったのですけれども、いよいよ上演が近づいてきてようやく二人とも『二人静』に集中できる体勢にはなったと思います。

そして地謡との打合せも稽古能で無事に済ませることができまして、先輩からのアドバイスも種々頂戴することができました。明日が『二人静』の申合でして、まずはそこに向けて完成度を高めてゆきたいと考えております!


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