ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

伊豆の国市子ども創作能「鎌倉まつり」公演(その1)

2015-04-13 12:43:15 | 能楽
昨日、4月12日(日)、ぬえが指導する 伊豆の国市子ども創作能は鎌倉市のお招きを頂いて「鎌倉まつり」に出演させて頂きました。

もう恒例となった行事で、伊豆の子どもたちが鎌倉で上演するのは今年で4年目になります。鎌倉市と鎌倉市観光協会さまには いつも大変親切にして頂いて、子どもたちも毎年 鎌倉に行くのを楽しみにしております。

静岡県にある伊豆の国市は伊豆長岡温泉や大仁温泉が有名ですが、じつは源頼朝が流された蛭が小島がある場所で、そのほかにも多くの史跡を残す歴史の宝庫です。頼朝はここで平家に対して挙兵し、ついにこれを滅ぼすと鎌倉に幕府を置きました。頼朝によって始められた武士による政権は明治維新まで続くことに。頼朝の挙兵に限って考えてみれば、いわば伊豆がスタート地点で鎌倉がゴールということになります。こうして5年前に、ゆかりのある市町村が協力して頼朝の史跡を中心として観光などを活性化しようという「頼朝ジャパン」という事業が始まりました。

ぬえが指導する伊豆の国市子ども創作能でも頼朝の挙兵を扱った『伊豆の頼朝』という新作の台本の創作能を上演していたので、このご縁で鎌倉市のイベント「鎌倉まつり」に招聘頂くことになりました。

今年は鎌倉市も伊豆の子ども能を大変大きく取り上げて頂き、「鎌倉まつり」のチラシにも1ページをつかって大々的にご紹介頂きました。会場となる鎌倉宮さまもいつも子どもたちを温かく迎えてくださり、関係の方々にはいつも大変感謝しております。

さてこの日は前後の数日ずっと雨が降り続いているのに、なぜか「鎌倉まつり」当日だけ見事に晴れ渡りました! 早朝6時半にバスで伊豆を出発した子どもたちも10時前に無事鎌倉に到着。





まずは鎌倉宮から徒歩数分の場所にある伝・頼朝の墓に参詣して、みんなでこれから上演する『伊豆の頼朝』の一節を謡って奉納しました。鎌倉市観光協会の遠藤さんも引率頂き、子どもたちのために わざわざ頼朝の伝記や墓についての言い伝えなどを記したプリントまで用意してくださいました。







奉納のあとは、開演時刻まで時間があるので、今回唯一の自由時間。鶴岡八幡宮を見に行ったりおみやげを買いに行ったり、自由にしていいよー、と言ったら。。

「そこにある公園で遊びたーい」

ええ。。? 鎌倉までわざわざ来たのに。。??



公園で遊んでから(笑)、やがて会場に戻って舞台掃除。これは ぬえが毎度、神社などでの公演のたびに子どもたちに課している奉仕作業です。使わせて頂く舞台への感謝をし、併せて多くの大人の協力によって公演ができることを感謝して。掃除のあとはお祓いも受けさせます。神様の前で奉納するのですから、神様へのご挨拶も忘れずに。



やがて東京からお囃子方も到着され、舞台で申合。



このあたりでちょっと予定の時間から遅れが出始めたので、子どもたちは急いでお弁当を食べて、着替えて。。立ち方の子に装束を着付けるのは ぬえ一人なので、毎回1時間掛かる計算なのでちょっと焦りましたが、なんとか多少の時間の余裕を残して着付けも完了、いよいよ公演が始まりました。

今回は鎌倉市長さんもお見えになり、最後まで熱心に子どもたちの熱演をご覧頂きました。



まずは ぬえが講師演目として仕舞『玄象』を勤めます。地謡は初の試みとして子どもたちに謡ってもらいました。まるで王様気取りじゃね。



次に子ども仕舞。2年生になったばかりのセイヤの『猩々』と、4年生の きっぺによる『敦盛キリ』。





子ども舞囃子『小袖曽我』。これは伊豆が舞台の物語なので、折を見つけては子どもたちにやらせる演目です。ちょっと難しいですけどね。今回の上演は中学3年の ひとちゃんと、6年生の よっちの二人。




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