ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

風の電話

2018-08-15 10:18:33 | 能楽の心と癒しプロジェクト
怒濤の被災地支援活動をすでに終え、東京に帰る途中です。
今回もいろんなものを見、聞きして、内容の濃い活動となりました。
かいつまんで、にはなりますが、ご報告申し上げようと思います。
 
8月10日、大槌町の町役場で笛の寺井宏明さんと、能楽写真家で 今回の大槌町での活動をコーディネートしてくれた新宮夕海さんと現地集合で落ち合い、実際に大槌町での活動を受け入れ、各方面との調整や準備に奔走してくださった佐々木慶一町議さんや、その佐々木さんを紹介頂いた藤原勝志ともお会いして、翌日の上演内容や段取りの打合せをさせて頂きました。
 
が。。この集合時刻にまだ余裕があった ぬえは、集合の前に もう3度目になった 大槌町にある「風の電話」に行ってきました。ぬえにとっても亡くなった大切な人に会う貴重な場所。。
 
ところが、「風の電話」のすぐ下には。。1年前に ぬえ自身も着工をこの目で見た三陸自動車道が完成していました。
開通はまだのようでしたが、もうすぐここをビュンビュンと車が疾走するのですね。。


 
もういくばくもなく、亡き人と語り合う静かな時間は失われてしまうのでしょう。
そうして、建設された三陸道は土盛りされて、もう「風の電話」から大槌湾の海は見えなくなってしまっていました。。
 
もうひとつ、大槌町には有名なものがありまして、それが「ひょっこりひょうたん島」です。
 

 
大槌湾に浮かぶ小島で、正しくは「蓬莱島」、もしくは弁財天を祀っているので地元では「弁天島」とも呼び習わしているのだそうです。
 
昔のテレビの人形劇番組に出てくる小島のモデルになった、とも言われていて、この名前でも有名なのですが、実際にはこの島が人形劇のモデルなのかは不明で、台本を書いた井上ひさしさんが東北の出身で、代表作の小説『吉里吉里人』との関係が思われる「吉里吉里」という地名が大槌町にあることからの連想なのかもしれない、とのこと。
 
そんな「ひょっこりひょうたん島」ですが、じつは ぬえはもう何回かこの大槌町を訪れているのに なぜか一度も目にしたことがありません。
 
それがこの度は場所を教えていただき、そのうえなんとこの島は堤防で陸続きになっている、という情報まで得て、それならば、と島に行ってみることにしました。
 
藤原さんの案内でついにたどり着いた島は。。あれ? 以前に写真で見たのと少し印象が違うような。。
 

 

  
じつはこの島は震災の時に津波が超えて行ったそうで、そのときに灯台も弁財天を祀る祠も壊れてしまったそうで、それらは震災後に再建されたのだそうです。
灯台の形が以前と変わったのか、津波によって島が削られて形が変わったのか。。