ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

第19次支援活動<気仙沼市>(その15)~2014年の舞初め…お神明さまで奉納舞囃子

2014-03-05 08:05:38 | 能楽の心と癒しプロジェクト
この日。。元朝にお邪魔するのは気仙沼内湾に面する「五十鈴神社」です。お待たせしました~(笑)

五十鈴神社は気仙沼市の内湾の一番奥まった、つまり陸地側から見れば一番手前に位置していて、港の中にひょっこりと突き出た小さな岬。。港からは小島のように見える「神明崎」の上に鎮座しています。その岬全体が銭形山と呼ばれる小山で、ちょうど港を見下ろす位置関係から神社は水産業の守り神として崇敬を集めているのだそうですが、それ以上に地元では「お神明さま」と呼ばれて親しまれている神社なのでした。

震災前はこの岬の周囲に赤い欄干を巡らせた遊歩道が設えられ、「浮見堂」という東屋が建てられてあり、ある種 気仙沼を代表する景観のひとつとなっていましたが、津波によって浮見堂も遊歩道も失い、遊歩道は現在でも立ち入り禁止のままです。

え~、ぬえたちは結局朝9時に到着すべきところ15分遅れてしまいまして。。前日下見をしておいた神社近くの空き地に車を停め、急な坂を登って神社に到着しました。この神社での活動をコーディネートしてくれたプロジェクト気仙沼支部局長(?)緑さんは、本来ご自宅までお迎えに参上するところ、それもまた ぬえたちが間に合わないということで、タクシーで先に到着してくれているはずですが。。

山頂に登って、まずは初詣客の対応にお忙しい様子の宮司さまにご挨拶をして、社務所の一室を控室に拝借させて頂きましたが、その部屋に上がろうとすると、境内の遠くに緑さんが誰かと話しています。それは気仙沼の災害FM「けせんぬまさいがいエフエム」さんの取材でした。取材の可能性があることは聞いていたのですが、なんとこの時間に生放送して頂いたらしく、遅れて到着した ぬえたちに代わって緑さんがインタビューを受けることになったのでした。すまん。。

さて気を取り直して楽屋であらためてプロジェクトのメンバーに会ってみると、いやはや。。いまだに意識ももーろーの方もおわしますし、今日の活動には参加しないけれど、まだ矢作の宿でお休み中の方もあり。。昨夜の盛り上がりの爪痕がこんなところに。ぬえは元気に起きたけどなあ。

で、この元日の奉納舞囃子のために用意してきた裃に着替えて、宮司さまに改めてご挨拶をして拝殿へ。



拝殿はコンクリート造りではありましたが、さすがは海の守り神さまとして崇敬を集めている神社で、内部の壁一面に「海上安全祈願」を記した幟がずらりと並んでいました。ご祭神は天照皇大神、素戔鳴尊のほかに、なるほど大海津見大神。。能『玉井』にも登場する竜宮城の主の海神が祀られていました。天の神、地の神、そして海の神がおわするあたりが海とともにある街らしいですね。五十鈴神社という名称は、それを統括するのが天照という意味で、伊勢神宮のほとりを流れる五十鈴川から採られたものなのでしょう。

この日の上演曲は舞囃子『高砂』です。拝殿の中を舞いやすいように少し片づけて広くして頂いて、さて ぬえたちは着座して宮司さまをお待ちしたのですが。。ああ、どうもご多忙のご様子で、残念ながらお祓いは受けることができませんでした。お待ちしている間に、なんか見知った気仙沼の方々が次々に拝殿に姿を見せます。気仙沼の「つばき会」の高橋和江さん、身障児童支援団体の「ネットワークオレンジ」の鈴木夕佳ちゃんと白幡大輝くん。。それでわ、ってんで舞囃子を奉納させて頂きました。







うん、晴れて ぬえの2014年の舞初めは気仙沼の神様への奉納で無事に勤めることができました。



終わって拝殿の外で夕佳ちゃんも入れて記念写真~。