ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

サンタさんは実在するか

2009-12-23 02:02:06 | 雑談
。。という話題が先日お稽古場でもちきりになりました。

稽古に来ている女の子(小4)ヒトちゃんが、やはり同学年のお友達の女の子のアヤちゃんに尋ねていました。「ね?ね? もうサンタさんにプレゼントお願いした?」。。なんだかとってもうれしそう。

ところがアヤちゃんは ふ、とため息をつくとヒトちゃんに言ったのです。「サンタさんなんて。。ホントはいないんだよ」
ををを~っっっ!!??

「え?」きょとんとした顔で ヒトちゃんは聞き返しました。「だって、みんな信じているじゃない。去年だってプレゼントもらったよ」
「ううん」首を横に振って、今度ははっきりと、でもどこか寂しそうな声でアヤちゃんは言いました。「でもやっぱりサンタさんはいない」

あっけにとられたように、信じられないという顔のヒトちゃんは、それでもアヤちゃんの真剣な声を聞いて、疑念がわき出てきたようでした。おそるおそる、ヒトちゃんはアヤちゃんに尋ねます。「それじゃ。。ホントは誰だか知ってるの?」
「うん。知ってる」

ああっ、それを言ってしまうの!? いつかは知らなければならない真実。それは大人になるために必ず通らなければいけない残酷な試練。いつも私を見守ってくれている、神様のような方がいるんだ。。そういう甘い幻想から、いつかは決別しなければならない。そうして大人になって、彼女たちもいつかは母親になり、そのとき自分が見守る子どもたちに、世界中があなたを愛している、と言ってあげたい。だから彼女たちも 我が子にやはり言うだろう。「いい子にしていればサンタさんがプレゼントを持ってきてくれるのよ」。。その言葉を聞いた幼子は、誰か知らないけれど自分を見守ってくれる優しい神様のような方を想像して安らかに眠りにつくだろう。そうして安心して育つ子もまた、いつか真実を知る日が来るのだ。。

「ホントに知ってるの?」
「知ってるよ」

ああ~~っ、しかし! しかしっ! それを知る日が、今日のこの日である必要がどこにあるのだろう!? 明日ではいけないの? あさってでは許されないの? 知ってしまえば。。知ってしまえば時計の針を元に戻すことは出来ない。彼女たちが母になる日はずっと先の未来だ。いつかは誰だって大人になる。。でもその日をせめて少しだけ延ばしてやることはできないの? 世界中が君たちを愛してる。それはひとつの真実なのだ。でも、それを知ってしまったら。。サンタさんが誰なのかを教えてしまったら。。この言葉さえ色を失ってしまう。家族だから愛しているんじゃない! 親だからプレゼントをあげるんじゃない! そうじゃない! 世界中が君たちを愛しているんだよ、と伝えたいから親はプレゼントを用意して、誰からかがわからないように、そっと君の眠っている横にそれを置いて立ち去るんだ。そうして次の朝、驚く君の顔を見て、そして満面の笑みで君がこう言うのを待つんだ。「パパ! サンタさんが来てくれたよ!」

それは本当はパパが枕元に置いたものだけれど、それでもパパからのプレゼントじゃないんだ。君が夢の中で見た美しい世界。。ねたみも争いもない、そんな世界のみんなからのプレゼントなんだよ。心の中でつぶやいて、そうしてパパは思う。この子が大きくなるまでに、きっと世界は良くなる。パパだってがんばってそうしてみせるさ!

だから、だから もう少しパパに時間をおくれ。君は安心して美しい夢の中に生きていておくれ。そうすればその夢が君の現実になる日が必ず来るさ。。

「じゃ、誰なの? サンタさん」
「それはね。。」

うわわわ~~っ! それを言ってはいけない! 私の名前を言ってはいけない! 私の名前は悪魔を呼び出す魔法の呪文。その名前は呪いが掛けられた罪深い言葉。それは君を恐ろしい魔界の迷宮につき落とす禁断の謂い。その名前は。。その名前は。。



「ママ」



。。え? 何ですと? (゜_゜;)




「ママだよ」


。。えええ~~?? (O_o)WAO!!!
パパぢゃないの? (__;)

。。そうなのか。。

その後周囲に聞いて回ったところ、「あ、今はママでしょう。昔はサンタさんは じつはパパでしたけどね~。最近はこんな世の中だからパパは仕事に忙しくて家にいないから存在が薄いのかな~。わっはっは」ですって。

んんん~~。。複雑。


ちなみに ぬえ家ではまだサンタさんを信じている 豆ぬえ(←年長さん)のサンタさんへのお願いは。。

「世界征服」 らしいです。。

それってモノじゃないやんけ!