7月の終わりから8月にかけて、NHKは、立て続けに、様々な問題を取り上げた≪NHKスペシャル≫を放映している。
その中から、特に私が強い感銘(と言うか、ショックというか‥)を受けた2つのNHKスペシャルの中味を、このブログ上に残しておきたいと思う。
NHKスペシャルが提起した重大な問題を、頭に刻み込んで、忘れないために!
その一つは、7月25日に放映された、下の表題の番組。
今東京は、凄まじい建設ラッシュに湧いている。
(それをもたらしたのは、現政権が推し進める≪経済の立て直し・強い経済の復活(アベノミクス)≫と≪オリンピックの招致≫だ。)
それに比して、被災地の災害公営住宅の建設は遅々として進まず、多くの被災者が未だ仮設住宅での不自由な生活を余儀なくされている。
今年に入って、仮設で暮らす人々の健康状態は、悪化の一途をたどっている。
(下のグラフはその一例)
災害復興住宅の建設は、一刻を争う急務なのだ。
だが、それが一向に進まない!
なぜか?
それは、(上に書いたように)東京を中心として全国的に繰り広げられる異常な建設ラッシュが、被災地から、“人手”も “建設資材”も、奪い取っている
からだ。
今被災地では、復興住宅を建てようにも、“人手”は集まらず、“建設資材”も不足している。
そこで工事は予定より大幅に遅れる。
そして工事は、遅れるだけでなく、今では開始のメドも立たない状態だ。
それは、災害公営住宅の工事を請け負う業者が決まらないからだ。
工事を請け負う業者は、入札によって決められる。
しかし、人件費と建設資材の高騰によって、どの業者の入札価格も、(国の決める)予定価格を上回ってしまうからだ。
そこで、“入札不調”が続き、業者の決定さえできないのだ。
このような入札不調は、全国的にもあるにはあるが、それが圧倒的に多いのは、やはり被災地の各県だ。
現政権の政治家たちは、選挙前・選挙中は、
「被災地の復興が、今の日本の最優先の課題だ!」
「被災地の復興なくして日本の復興はあり得ない!」
と、声を大にして言い放っていた。
しかし、その舌の根も乾かぬうちに、被災地で、こんな事態が起こっているのだ。
そして当の為政者は、この被災地の深刻な事態には見向きもせず、≪強い経済≫と≪オリンピックの成功≫に、ますます躍起になっている。
何ということだろう!
年老いて体調を崩した父のためにもと、自力で資金を集め、自宅の再建を決められた鈴木さん。
左が鈴木さん。右がその父上。
鈴木さんの新居は、当初、年内には出来上がる予定だった。
新居でお正月を迎えることを、鈴木さんもお父さんも、心待ちにされていた。
けれど鈴木さんは、工事を請け負った工務店から、人手と資材の不足のため、来年の春にならなければ完成は無理だと告げられる。
それを聞いて鈴木さんがつぶやかれた言葉‥。
「東北の地震なんて、津波なんて、もう忘れられてるんですよね…」
この言葉と、父上の流された涙に対して、国政を担う政治家は、いったいどう答えるつもりなのだろうか!?
【追記】
『日本経済の復興とオリンピックの成功』のために、“見捨てられた被災地”!
その残酷な政治と経済の在り様を明らかにしたいと、このブログを書こうとしたが、うまく書けなかった。
自分の非力をつくづく感じる。