今(9月1日~同25日)大阪松竹座で、≪六代目中村勘九郎襲名披露≫の「九月大歌舞伎」が行われている。
「中村勘九郎」と言えば、現在の「中村勘三郎」さんが、長い間名乗ってこられたお名前。
このたび、中村勘三郎の長男の勘太郎さんが、お父さんの名跡を継がれることになった。
私は大名跡の襲名披露というのはまだ見たことがなかったので、(割引でも)15,000円の代金はちょっと痛かったけれど、思い切って行くことにし
た。
行ったのは、9月8日の土曜日。
(ずいぶん前のことになるが、今日まで何となく体調優れず、なかなかブログを書く気にならなかった。)
松竹座の待ち合いには、襲名を祝う、各界からの飾り絵馬が飾られていて、襲名の華やかさをさらに盛り上げていた。
今回私たち(Kさんと私)は夜の部に行ったが、夜の部の演目は次のとおり。
私は、ナマで初めて見る「口上」と、勘九郎の七変化が見られる「雨乞狐」を、特に楽しみにしていた。
「口上」(だけではなく、今回の舞台全体)には、本来だったら、勘九郎の父・勘三郎さんが当然出演されるはずなのだが、彼はただ今闘病中‥。
息子の晴れ姿を直に見る事ができなかった勘三郎さんの無念の思いは、如何ほどであろうかと、心が痛む。
今はただ、勘三郎さんのご快癒を、心から祈るのみだ。
口上では、勘三郎さんの代わりを玉三郎氏が務められ、壇上には、中村翫雀・扇雀、橋之助、(新)勘九郎の弟の七之助、秀太郎などの面々が並ば
れ、とても華やかだった。
最初の演目「女暫(おんなしばらく)」では、なんと言っても、玉三郎の美しさが際立った。
勘九郎の七変化が見られることで、私が今回一番楽しみにしていた「雨乞狐(あまごいぎつね)」は、期待に違わず、すばらしかった。
「野狐」→「雨乞巫女」→「座頭」→「小野道風」→「狐の嫁」→「提灯」→「野狐」と、早変わりしながらそれぞれの役を演じ(踊り)分ける‥勘九郎。
性格の異なる役を見事に演じ分けながら踊られる姿は、さすが、勘九郎の名にふさわしいと思った。
ところが‥である。
私は前夜の睡眠不足(忙しくて2時間位しか眠れなかった)がたたって、せっかくの「雨乞狐」の途中から、時々眠気を我慢できにくくなっていた。
コックリしては、慌てて目をこすり、「雨乞狐」はどうにかこうにか、最後まで見ることができた。
でも、最後の「雁のたより」は、もうイケナイ!
「雁のたより」が始まってチョットすると、私は気持ちよく眠りの世界へと入っていった。
そして、そのまま、芝居が終わるまで、ほとんど夢の中。
15,000円のチケット代を考えると、ちょっと勿体ない気はするけれど、芝居を見ながら?の居眠りの、なんと心地イイこと!
私は、強がりでなく、そう思った。
というわけで、最後の演目は見ないままで終わった「九月大歌舞伎」だけど、それなりに楽しい夜だった。