鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<737> 35年ぶりに歯医者に行ったので

2019-07-29 18:13:41 | 日記
 毎度!ねずみだ。

 無類の歯医者嫌いである。まあ歯医者に行って歯を削るのが趣味という輩はあまりいないだろう。高校の頃通ったのを最後に歯医者に行っていないので、なんだかんだで35年くらい経つ。

 奥さんが近場の歯医者に通っていた経緯があって、痛くない歯医者だからと子供をだますような言葉で言いくるめられ、仕方なく私も行くことにしたのだ。痛くない歯医者なんぞあるものか。
 高校生の頃に行っていた実家の近所の歯医者は爺さんの先生がやたら音のうるさいドリルでギギゴギガギガ、と削るような歯医者だったのでやたら辟易した記憶がある。歯だけでなく頭蓋骨も削られたかもしれず、それがトラウマになって歯医者を遠ざけたのかもしれない。

 さて、家から5分もかからない場所にあるその歯医者は物凄くきれいな内装でできたばかりのようだった。受付をすませるとほどなく呼ばれる。治療用のベッドに横になると目の前にはでかいモニターがあり、治療前に撮影された歯並びのレントゲン写真が表示されている。
 周りの歯医者の先生や助手の方を見ると、みな女性で一様に若い。マスクで口元を隠して
いるので顔は分からないが、ピンクの白衣(矛盾している)を着ていてなんとなくかわいいのではないだろうか、と思わせる。
 女医さんがとなりに立つとなんだかドキドキしてしまう。残念ながら顔に白いタオルをかけられてしまい、何が行われるのか見えないようになっている。これではご臨終である。「はい、口を開けてください。痛かったら左手を挙げてくださいね。」などと言われてなんだか嬉しくなってしまう。

 歯の治療に関わる世界は飛躍的に進歩したと見えて、35年前にギギゴギガと音を立てていたドリルはチュイーンと軽やかな音を立てる。全く痛くないに違いない。
 こんな事ならもっと早く治療を受けても良かったなど考えていたら、「失礼します。」と女医さんの指がやにわに口の中に入ってきて、なにやら作業を始める。もともと舌を引っ込めていたのだがつい指にふれてしまう。(多分皆そうなのだろうが、舌というやつは自分の意志に反してうにうに動いてしまうので仕方がないのだ。)

 52歳になるまで若い女性に口の中をまさぐられた経験がなかったのだが、これがなんとも性的で官能的な動作である。そういうお店があったらお金を払っても良いとさえ思わせる。これではまるで歯医者パブ。ちょうど女医さんはピンクの白衣(矛盾している)だし、みな一様に若いし。
 不謹慎とは思いながらもうっとりとしてしまった。おいおいどこかにあるのではなかろうか歯医者パブ。もちろん実際に歯を削られるのでは困るが、口の中をクリーニングしてくれるだけでも恍惚としてしまう。帰ったらネットで検索してみよう歯医者パブ、などとぼんやりしている間に治療が終わる。

 次回の予約をとって家に戻るとさっそく奥さんにその話をしたところ、思いっきり軽蔑された。そうは言われても予約を取ってしまったので来週また行くのだ。

 じゃ!