漂泊(さすらい)の俳人「種田山頭火(たねださんとうか)」は、父親の「造り酒屋」を手伝い結婚し一児をもうけるが、父親の放蕩のため破産、妻と離婚、子供は妻に押し付けて東京へ行く。
ところが東京で「関東大震災」に遭遇し、元妻のところへ転がり込む。 この後、曹洞宗報恩寺の寺男となるが、寺を飛び出し雲水僧となって俳句の旅に出る。
山頭火の俳句は自由律俳句で、字数は定まらず季語も無視したものである。
◆うしろすがたの しぐれていくか
笠をかぶり、左手に鉄鉢(てつばつ又はてつばち)、右手に錫杖(しゃくじょう)を手にして、飄々と旅する山頭火の姿が思い浮かぶ。
◆風の中 声はり上げて 南無観世音
家の軒々を托鉢してまわり、米などを鉄鉢にいれて貰うのだが、入れる方は「功徳(くどく)」になるので決して渋々ではないと思う。 曹洞宗では、こうして功徳を積むことによって、死んだら「極楽」へ行けると教えている。
◆ちんぽこも おそそも湧いて あふれる湯
思わぬところで行き当たる温泉は、山頭火にとって嬉しい出合いであったに相違ない。 思わずふざけて詠んだ句だろう。 なんとおおらかで、ほのぼのとした情景が浮かぶではないか。
◆いつ死ぬる 木の実は播(ま)いておけ
◆おちついて 死ねそうな草萌ゆる
「死に仕度」をしておけと、自分に言い聞かせているように思える。 山頭火は、同じ自由律俳句の仲間である高橋一洵(たかはしいちじゅん)と出会い、終(つい)の棲家(すみか)となる「一草庵」に連れてこられ、ここに落ち着く。
山頭火は、かねてよりの望みであった「ころり死」を、この一草庵で遂げる。 脳溢血であった。 享年五十八歳。
◆もりもり もりあがる雲へあゆむ (山頭火、死の直前の句)
(原稿用紙3枚)
第一回 宮沢賢治
第二回 斉藤茂吉
第三回 松尾芭蕉
第四回 大津皇子
第五回 井原西鶴
第六回 親鸞上人
第七回 滝沢馬琴
第八回 楠木正行
第九回 種田山頭火
第十回 夏目漱石
第十一回 十返舎一九
第十二回 正岡子規
第十三回 浅野内匠頭
第十四回 平敦盛
第十五回 良寛禅師
ところが東京で「関東大震災」に遭遇し、元妻のところへ転がり込む。 この後、曹洞宗報恩寺の寺男となるが、寺を飛び出し雲水僧となって俳句の旅に出る。
山頭火の俳句は自由律俳句で、字数は定まらず季語も無視したものである。
◆うしろすがたの しぐれていくか
笠をかぶり、左手に鉄鉢(てつばつ又はてつばち)、右手に錫杖(しゃくじょう)を手にして、飄々と旅する山頭火の姿が思い浮かぶ。
◆風の中 声はり上げて 南無観世音
家の軒々を托鉢してまわり、米などを鉄鉢にいれて貰うのだが、入れる方は「功徳(くどく)」になるので決して渋々ではないと思う。 曹洞宗では、こうして功徳を積むことによって、死んだら「極楽」へ行けると教えている。
◆ちんぽこも おそそも湧いて あふれる湯
思わぬところで行き当たる温泉は、山頭火にとって嬉しい出合いであったに相違ない。 思わずふざけて詠んだ句だろう。 なんとおおらかで、ほのぼのとした情景が浮かぶではないか。
◆いつ死ぬる 木の実は播(ま)いておけ
◆おちついて 死ねそうな草萌ゆる
「死に仕度」をしておけと、自分に言い聞かせているように思える。 山頭火は、同じ自由律俳句の仲間である高橋一洵(たかはしいちじゅん)と出会い、終(つい)の棲家(すみか)となる「一草庵」に連れてこられ、ここに落ち着く。
山頭火は、かねてよりの望みであった「ころり死」を、この一草庵で遂げる。 脳溢血であった。 享年五十八歳。
◆もりもり もりあがる雲へあゆむ (山頭火、死の直前の句)
(原稿用紙3枚)
第一回 宮沢賢治
第二回 斉藤茂吉
第三回 松尾芭蕉
第四回 大津皇子
第五回 井原西鶴
第六回 親鸞上人
第七回 滝沢馬琴
第八回 楠木正行
第九回 種田山頭火
第十回 夏目漱石
第十一回 十返舎一九
第十二回 正岡子規
第十三回 浅野内匠頭
第十四回 平敦盛
第十五回 良寛禅師