雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

猫爺のエッセイ「股旅演歌」粋でいなせなお兄さん

2016-06-22 | エッセイ
 クイズ番組を視ていたら、「鯔背(いなせ)」の読み方が問題に出ていた。猫爺みたいな半分化石になっている爺は、誰にでも通じるだろうと投稿記事にばんばん使っているが、「もしや死語?」だったのかなと不安になってきた。

 鯔とは、魚のボラのことで、江戸の魚河岸で働く威勢がよくて勇み肌の兄さんたちの間で流行った丁髷がボラの背中に似ていたことからその髪型を「鯔背銀杏」と言い、転じて意気の良い若者を「粋で鯔背なお兄さん」というようになった。

 我々堅気の衆は、「兄さん」を「にいさん」というが、渡世人は「あにさん」と言うことがある。「フーテンの寅さん」のセリフによく出て来た言い方だ。この「にいさん」「あにさん」を丁寧に「お」を付けて呼ぶと、「おにいさん」「おあにさん」になる訳だが、「おあにさん」は呼びにくいし、かっこわるい。それを調子に乗せて言ったのが「おあにぃさん」である。

 粋で鯔背なおあにぃさんと言えば若き日のこの人。上の瞼と、下の瞼を合わせると、在りし日のあの雄姿が浮かぶ。あ、番場の忠太郎と違いまっせ。

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