雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

猫爺のエッセイ「辞世のとき」 第二回 斉藤茂吉

2014-01-09 | エッセイ
 歌人「斉藤茂吉」のもう一つの顔は精神科医である。 医師らしく、自らの「死に行く」肉体を冷静に見つめている。

   ◇自らの 落度などとは 思ふなよ わが細胞は 刻々と死するを

   ◇暁の 薄明に死を おもふことあり 除外例なき 死といへるもの

 死という生物的宿命を、宗教的観念ではなく「細胞の死」と具象的にとらえている。 

 やがて、茂吉は痴呆症に罹る。 

   ◇朦朧と したる意識を 辛うじて たもちながらに われ暁に伏す

…のであった。 そして、最期のときが近付く。 「辞世の句」

   ◇いつしかも 日がしずみゆき うつせみの われもおのずから きはまるらしも

 享年、71才であった。 

      (原稿用紙2枚)

第一回 宮沢賢治
第二回 斉藤茂吉
第三回 松尾芭蕉
第四回 大津皇子
第五回 井原西鶴
第六回 親鸞上人
第七回 滝沢馬琴
第八回 楠木正行
第九回 種田山頭火
第十回 夏目漱石
第十一回 十返舎一九
第十二回 正岡子規
第十三回 浅野内匠頭
第十四回 平敦盛
第十五回 良寛禅師


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