雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

猫爺のエッセイ「辞世の時」 第十一回 十返舎一九

2014-01-18 | エッセイ
 「東海道中膝栗毛」の作者「十返舎一九」は、駿河の国で同心の子として生まれる。 一九は自分の最後を予感して、大変な悪戯を企てている。 
 身近な人たちに「自分が死んだら、この頭陀袋(ずだぶくろ)と共に火葬にしてくれ」と言い残した。 身近な者たちは、言われた通り川原で薪を組み、その上に死体と頭陀袋を乗せて火をつけた。 神妙に見送る人々が、度肝を抜かれる事態が起こった。パンパンと頭陀袋に入っていた花火が打ちあがったのだ。 自分の死までもユーモアで飾った一九であった。 

 ・・・・という有名な逸話は、当時の落語家が落語ネタとして作ったものらしい。

 辞世の句は、
  ◇この世をば どりゃおいとまに せん香の 煙と共に 灰左様なら

 この世を、どれ、お暇しましょうか。 線香の香りと共に、ハイ、さようなら

     享年66歳

 「東海道中膝栗毛」

 屋号、栃面屋弥次郎兵衛は、駿河の国の裕福な商家の生まれで、放蕩が元で借金を重ねる。

  ◇借金は 富士の山ほどある故に、そこで夜逃げを 駿河者かな

 弥次郎兵衛は江戸で妻を娶り、密陀絵(みつだえ=油絵)を描いて生活していたが、女房に死なれて、厄払いに伊勢神宮への旅に出る決心をする。

  喜多八は、元は陰間(かげま=男娼)で、弥次郎兵衛の馴染みであったが、弥次郎兵衛と共に夜逃げをする。 江戸へ来て、商家の使用人として働くが、店の金は使い込むは、店の女主人に言い寄るなどして馘首になり、路頭に迷い、弥次郎兵衛の伊勢参りに付いて行くことにした…

      (原稿用紙3枚)

第一回 宮沢賢治
第二回 斉藤茂吉
第三回 松尾芭蕉
第四回 大津皇子
第五回 井原西鶴
第六回 親鸞上人
第七回 滝沢馬琴
第八回 楠木正行
第九回 種田山頭火
第十回 夏目漱石
第十一回 十返舎一九
第十二回 正岡子規
第十三回 浅野内匠頭
第十四回 平敦盛
第十五回 良寛禅師


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