雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

無花果どろぼう

2011-09-25 | 日記

 私は無花果(いちじく)が好きだ。妻が「大嫌い」だったので、買ってくるのは年1回あるかないか。特に美味しいからと言うのではなく、ノスタルジア。子供のころ、友達の家に遊びに行った帰り、よその家のよく熟れた無花果を1つもぎ取って食べたものだ。きっちり、窃盗である。しかし、一度も叱られたことはない。どこの家でも、無花果が実のっても収穫しないようだった。そのまま放置されて、野鳥の餌かそのまま腐るだけ。中には、いちごジャムの代用品になっていたようだけど。

 高級な果物は食べられなかったが、芝栗、山桃、アケビ、木苺、野苺、茱萸(ぐみ)、桑の実、渋柿、それから私たちは「ちょろむけ」と呼んでいた甘酸っぱい小さな灌木の実、たしか正式名は「ヤマナス」だったと記憶しているのだが、ネットで調べても大きな「茄子」しか出てこない。そんなものを山を駆けずりまわって採取した。山が残っていれば、私たち悪童が食い散らかした木の実の種が芽を吹いて、山を装っていたかも知れないが、山は削られて宅地になったり、海の埋め立てに使われたりして、すっかり消えてしまった。しかし、当時の悪童の天敵、まむし、百足(むかで)は、どごかでしたたかに生き残っているだろう。


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