雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

落語に出てくる和歌

2012-03-27 | 日記
 私の知っている落語で、和歌を使ったものが二つある。 もっと有ったような気がするが、思い出せない。 思い出せるのは、落語のタイトル「千早ふる」と、「崇徳院」だけ。 今回は、「千早ふる」を取り上げてみよう。

  千早ぶる神代もきかず龍田川 からくれなゐに 水くくるとは  (在原業平朝臣)古今集

 この和歌の登場人物:力士「龍田川」、 吉原の花魁「千早太夫」、千早の妹分の花魁「神代」 そして、謎の女性の名前「とは」

 関取に昇進した龍田川関が花の吉原で千早太夫を見初めるが、千早太夫は「わちきは、お大名しか客を取らない」と、冷たくふる。 仕方なく、妹分の神代に言い寄るが、わちきも嫌でありんす」ときかない。 千早太夫のことが忘れられない龍田川は、相撲にみが入らず辞めて田舎の実家へもどってしまう。 実家の豆腐屋を継いで、五年が経ったある朝、店の前に物乞いの女が立ち「何日も食べていないのでおからを恵んで欲しい」と言う。 龍田川は「おから」をやろうとして女の顔を見ると、龍田川をふった元千早太夫だとわかり、憎しみが込み上げてきて「お前にたべさせるおからはねえ!」と追い払う。 千早はおからをくれない男が龍田川だと知り、昔を悔いて店の前にあった井戸に身をなげてしまう。(みずくくる)   …ところで最後につく「とは」って誰だろう。 実は、千早太夫の本名なのだそうである。(落ち)

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