ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

「サピエンス全史」など

2021-04-06 12:50:14 | 

 

ここのところけっこう分厚い本を何冊か読みました。久しぶりに読書にハマっています。

脳について考えていたところから読んだのが、

「闇の脳科学」ローン・フランク著 文芸春秋

 

岡田斗司夫チャンネルで紹介された本で、デンマークのサイエンスジャーナリストであるローン・フランクという女性が書いたものです。

脳科学の本というと固くて近寄りがたいという印象ですが、これは下手なミステリー小説より面白かった。

何しろ、まだロボトミー手術が行われていた1950年代に、精神疾患を治療するために脳深部刺激療法(脳深部に電極を埋め込み微弱な電気刺激を与えて治療する)という画期的な治療法を開発したにもかかわらず、闇に葬られてきた精神科医ロバート・ヒースの栄光と挫折の物語、なのですから。

著者はあらゆる方面からヒースの足跡を掘り起こし、一体ヒースに何が起きたのか、なぜ闇に葬られてしまったのかを解明していきます。

なぜなら、ヒースが開発した脳深部刺激療法は現在新しい治療法として様々な病気に適応されているからです。にもかかわらず、大半の医師たちはロバート・ヒースの名前すら知らない。

ロバート・ヒースという医師はマッドサイエンティストだったのか、それとも早すぎた天才だったのか・・それを著者は明らかにしていきます。

もう一冊は、

「ファクトフルネス」ハンス・ロスリング著 日経BPマーケティング

これは世界的なベストセラーになった本です。

これもえらく面白かった。

著者はスウェーデンの医師であり研究者。世界中の貧困地帯で医療をしてきた経験から、先進国の人たち(ジャーナリストや学者も含めて)が世界の現状について実は無知であるということに気づき、この本を書こうと思いたったそうです。

彼は私とほぼ同世代(1948年生まれ)ですが残念ながら2017年に亡くなっています。

手短に言うと、世界の見方についての本。

人間はいかに現実を見ていないか、知ったつもりでいるか、そのせいで世界を見誤っているのではないか、ということをわかりやすく指摘した本です。

冒頭からクイズに挑戦しよう、とあり、10個の質問が並びます。答えはABCの三択。

① 現在低所得国に暮らす女子の何割が初等教育を修了するでしょう?
  A,20% B,40 % C,60 %

② 世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?
    A低所得国 B中所得国 C高所得国

③ 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょうか?
   A 約2倍になった  B あまり変わっていない C 半分になった

④  世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょうか?
     A  50 歳     B 60 歳      C 70 歳

とまあ、こういう質問が10個続きます。ちなみに9個目は、

⑨ 世界中の一歳児の中で何らかの病気に対して予防接種を受けている子どもはどのくらいいるでしょう?
     A 20 %       B 50 %     C 80%

(答えは・・①c②b③c④c⑨c)

あなたは何個当たりましたか?

ここに出てくるのはもっぱらデータで、データというのは取り扱い方でどのようにも解釈できてしまいますが、その点も含めて書かれています。

何より著者が世界じゅうの貧困地帯で医療に携わってきた人であるという点が重要です。

ここに挙げられた数字は世界に対する見方を一変させ、私たちに希望を与えてくれます。

そして、最後に、ジャーン! 世界的ベストセラー(冒頭写真)

「サピエンス全史」ユヴァル・ノア・ハラリ著 河出書房新社

をついに読了しました。

いやあ、面白かったよお。

この本、上下巻とやたら長いし、字は小さいしで、読むのをためらっていたのですが、読み始めたら面白い面白い、ぐんぐん読めます。

何しろ地球上に人類が誕生してから250万年(この間人類はほとんど進化していなかったのですが)7万年前にホモ・サピエンスが登場するや否や、他の人類(ネアンデルタール人やクロマニョン人など)は絶滅し、ホモ・サピエンスだけが生き残った(たぶん私らの先祖が彼らを絶滅させた・・)。

なぜなら、ホモ・サピエンスは脳の突然変異により複雑な言語を操る能力を獲得したから。それはもっぱら「嘘」と「噂話」で、この嘘と噂話がホモ・サピエンスを地球の支配者にした、というのです。

ハラリは人類史上いくつかの画期的な革命について語っていきます。

認知革命
 嘘と噂話〈虚構の世界〉により、多数の人々が集団で暮らすようになり、村や国家が出来上がる。
農業革命
 人間が小麦の奴隷となる。人々は定住し、貨幣、宗教、帝国が登場する。
科学革命
 知らない世界を探求し、数学、物理学等の科学が発達し、未来予測も可能になる、そして幸福とは何かについての探求など。

詳しくは本の要約サイトなどを見れば大体のことはわかりますが、時間のある人はぜひ本を読んでみてください。なにしろ面白いんだから。

こんなに深い内容を普通の人にも読めるように面白く書くって、ユヴァル・ノア・ハラリは只者じゃない。続編の「ホモ・デウス」も読もうかと思っています。

知の世界もどんどん進化しているのですねえ。

というわけで、最近はすっかり本にハマっている私なのでした。

ちなみに「スターウォーズ」もEP1~EP6を通して見てみたよ。
やっぱりEP4~EP6が最高ね!

コメント
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