「アルジャーノン、チャーリー、そして私」ダニエル・キイス 2000早川書房
「アルジャーノンに花束を」執筆回顧録
ダニエル・キイスは若い時から極度の近視であるために、目が見えなくなった時の備えをしていた。物忘れをチャーリーと結びつける話はじめの枕に使われただけだろうか。いや、項のタイトル「アイデアの地下貯蔵庫」からすれば、常にそういう備えをする性分だったことが「アルジャーノンに花束を」と言う作品を生み出したとも読み取れる、というかそう言っているんだろうね。
親から医者になれと育てられ、本人もその気だったが船に乗った経験から諦める(放棄する)。経済的な面もあった。
中篇(短編)で得た所得は千ドルに満たない。
笑われる主人公ではなく、読者には彼と一緒に笑ってほしい。
6年をかけた長篇化。
安易な修正を受け入れず、自らの想いにこだわったことが傑作(賞賛)を生んだ。
ツルゲーネフ、大衆の賛辞と褒賞についての考え方
「きみの作品がその褒賞だ」
「きみこそが、きみのなし遂げたものの最高の判定者だ」
中途半端な「映画」と運が悪かった(?)「ミュージカル」
日本でも超有名な『アニー』の『トゥモロー』は、チャーリーのミュージカルに使われるはずの曲だった。
で、ダニエル・キースは『トゥモロー』がチャーリーのミュージカルに使われればもっとヒットして残ったと思っているのだろうか。そうじゃないよね。結局、そのミュージカルの出来がその程度だったということに尽きるよ。
長篇化は『もっと売れる、稼げるはず』という思いもあったからできたことだよね。6年もかけて。何度も書き直して。