小説「原発と拳銃」杉浦昭嘉 2012詳伝社
学生時代(アルバイト)から原発に関わってしまった男。
放射線の影響と思われる友人たちの死。
原発村からの圧力。
諦め。
そして3・11
原発への復讐・・・
ラストの社長に建屋内の本当の状況写真を送るというのが、「甘い!」って思ったんだけど、でも、社会正義だの現実だのを超えた部分での復讐になっているのか。社長は電力会社の代表、責任者だからというだけでなく、これまでの原子力政策の代表者として選ばれたのだな。そして、その写真をもみ消すのか公開するのか、その大きな判断と責任を背負わせる。どっちでもいいんだな。もみ消すのであれば生涯その罪の意識を背負って生きろと。これまでの罪を償いたいのであれば公開すればいいのだと。
被曝覚悟で残るのが無意識的加害者である自分の義務みたいなことをいう娘。
それは違うぞ。そう、違うって。
放射性物質の汚染は津波といっしょだよ。
わかっている人間が逃げてみんなに危険を知らせなきゃ!
それは覚悟じゃなくて楽をして逃げているだけだ。
ああ、読みながら現状にイライラと諦め。
原発再開、瓦礫広域処理、避難地域見直し、暫定基準
20年、30年後、全国民が後悔する状況ばかりだろう。
原子力規制委員会はきちんと機能する人選がなされるのだろうか。
高度汚染地域のロードマップはいつになったらできるのだろうか。