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「姑獲鳥(うぶめ)の夏」

2005年11月05日 16時24分09秒 | 読書とか

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「姑獲烏の夏」 京極夏彦:講談社文庫
《雑司が谷連続嬰児誘拐殺人》
「この世には不思議な事など何もないのだよ」

 この作品の一番うれしかった事は、読めない漢字のほとんどにルビが振ってあったこと!
 (あほですみません)

 秋彦さん(京極堂)は、いきなり「姑獲鳥」は「うぶめ」と読まないなんて言っちゃう訳で、それではこのタイトルは間違っていると言うのですか。当て字ですか?と思っちゃうわけですよね。まあ、そんな事はどうでもいい。最後にはそう読ませるようになっているのだから。

 作品のつくりから言うと探偵物の推理小説。
 秋彦さんがみんなを集めてネタばらしをするあたりは、あまりに推理小説の定型的でちょっと気に入らないんだけど、その後の展開と作品の終わらせ方に満足である。
 とにかく京極堂のセリフは説得力がある。夏彦さんの表現力だろう。普段いちいち反論を考えるが、この作品の京極堂に関してはそれがなかった。いや、反論できない事はないが、セリフに引き込まれて反論を考える気にならなかったのだ。
 とにかく、その語り口には知的好奇心をくすぐる内容が多い。そのためページ数が多い事も気にならずに読み進めることができる。妖怪、幽霊話から安部清明、アインシュタインや人工授精、ホムンクルス。それらが登場するわけではないが、刺激されるでしょ?

 作品を一言で言うと「てんきょういん」(漢字は自分で調べてね。
 要は「いっちゃってる人」の集まりでの事件。

 ストーリーは読んでのお楽しみ。とにかく楽しめた作品であった。
 つぎは「百器徒然袋 雨」だな。また分厚い本だ。


京極堂:中禅寺秋彦 古本屋(蕎麦屋の隣) 神社の神主(祈祷師)

中禅寺敦子:京極堂の妹(20) 雑誌編集者
千鶴子:京極堂の妻 もともと「京極堂」とはこの妻の実家の菓子司の屋号。

榎木津礼二郎:探偵「薔薇十字探偵社」 京極堂の友人 特殊な能力をもつ
   総一郎:作中登場せず。礼二郎の兄(長男)

木場修太郎:刑事 関口巽の戦友


関口巽:この作品の案内役。主人公?
 雪絵:関口の妻

久遠寺涼子:多重人格 ある意味この作品の主人公
久遠寺梗子:涼子の妹

内藤医師(?):医者の資格を持たない久遠寺家の居候?

菅野:昔、行方をくらませた小児科医


キーワード:ロリコン、ダチュラ(朝鮮朝顔)、憑物筋、無頭児

「民族社会にはルールがある。努力した結果の成功も憑物の所為、自分の失敗で破産しても座敷童子の所為にできた。その契約の約款が失われてしまった。都市にあるのは自由・平等・民主主義の仮面をかぶった陰湿な差別主義だけ」
それにしても関口君、君は立派なきちがいだよ。

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コメント (4)
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