体験入店のヨウ②

昨日の続き…

金曜日に体験入店のヨウは

開店３０分前に店に現れた

「今日は宜しくお願いします」

とっても腰の低い彼はマジで頑張る意欲がムンムンだった

「そう、じゃ頑張ってね」

私はリキッドアイライナーを目元に引きながら

彼に店内の壁を拭く様に指示した

「はい、分かりました」

テキパキと、そして丁寧に作業を進めるヨウ

聞けば清掃業のバイト経験があるそうな

開店前にやるべき事を幾つか教えながら

メイクを終えた私はカウンター内の支度をする

少ししてハルカが入店

ヨウは彼女にも丁寧に挨拶をしていた

そうこうしている内にひと組目のお客様が見えた

我々がジョイナーと呼んでいる熟女だ

稲川淳二の様なせわしない喋り方をする彼女

見た目はとにかく派手で自己主張も多くややウザいタイプ

「あんたチョット可愛い子入ってんじゃないの

　どうなのアンタも男が好きなの？

　そうそうエドナあんたこの子タイプなんじゃないの？」

席にも着かずにああでもないこうでもないとまとわりつく彼女

「もうアンタ落ち着かないわね

　早く腰掛けなさいよ

　それで何を飲むのよ？」

その後来店の常連ご意見番のユリ子姐に

「ちょっと貴女！少し落ち着きなさいよ」と

たしなめられていた

後で聞いたらユリ子姐とジョイナーは

吉祥寺の某店で会った事あるらしい


それよりヨウは…

カウンターの中でヨウスケに聞きながら

悪戦苦闘している

でも一生懸命でお客さんからも好印象だった

途中で女王様から猛毒を吐かれていた

更には「脚を揉め～！」と命じられ

額に汗しながら必死で揉んでいた


腰の低さと一生懸命なところが

ヨウの好感持てるところだが

接客はまだ慣れていないので

混雑時以外はカウンター内で洗い物や

トイレの清掃などをさせた

日曜日の昼には九州に向かうらしいので

早めに上がらせようと思っていたが

結局４時まで居てもらうことに


ヨウのやる気は十分わかったので

今後も金曜日を中心に出勤は可能だろうと思う

ホントはもう少し店が忙しければ

週にあと３日くらい入れたいところだが…

アベノミクスってオカマバーにもご利益あるのかしら

体験入店のヨウ

一昨夜、遅い時間に遊びに来たヨウ

彼は今、九州の山間の町で叔父さんの仕事を期間限定で手伝っているが

その仕事も終盤に差し掛かり来月にはまた東京に戻って来る

ヨウは３１歳の独身だ

職歴はあまり話さないが最近は親戚筋の手伝いで糊口を凌いでいる様だ

彼は小さい頃から兄に暴力などで抑圧された生活を送っていた事を告白している

腕には自傷もしくは兄或は第三者から受けたかの様な跡も見受けられるのだ

人懐っこさと猜疑、更には酒が入ると短気になりパニックを起こす場合もあった

やや不安定な所があるが普段はとても気遣いのある好青年なのだ

そんな彼が「叔父さんの仕事が終わったら此処でバイトしたい」と言いだした

当店はゴールデンウイーク前に深刻な人手不足に陥り

常連客の女性などにヘルプを頼み私と二人で営業した事もあった

その時にたまたま遊びに来ていたヨウにも声かけしたが諸事情で叶わなかった

その後新しいスタッフが入り今の所は飽和状態である

但し金曜日に付いてはママが欠勤の場合が多く

客足が多く予想される曜日の割には４人体制とやや心細い

なので昨夜の金曜日にヨウを体験入店と言う形で様子を見る事にした

勿論、お客さんとして遊びに来ているのとスタッフとして働くのでは

まるで違うのだと言う事もしっかり教えたし

手強い酔客も多く厳しい言葉をぶつけられる事も珍しくないとも教えた


金曜日、ヨウはまだ私がメイクする前に現れた

殊勝な態度で挨拶し、やる気満々である

果たして結果は…

次回に続く

エアコンが

こんな時期にエアコンが調子悪いのだ

私の部屋は夏は地獄と化すが

冬は電気ストーブで十分温かい

なのでエアコンは初夏から秋口まで連日稼動する

越して来た時に既に備え付けてあったもので

かなり古いタイプの機種と思われる

それでも６畳間を冷やすには特に問題はなかった

ところが一昨日、あまりの蒸し暑さにリモコンのスイッチを押したところ

電源ランプは点くが作動しないのである

よく見ると本体の電源ランプが点滅している

取説がないので、どう言う状況なのかは判らない

とにかく待てど暮らせど作動しないのだ

もしや故障？

て事は、修理または買い替え？

業者をこのゴミ屋敷と化した足の踏み場もない部屋へ招き入れなきゃならないの

恥ずかしくて、この夏はエアコン無しも覚悟したが

熱中症で孤独死なんてシャレにもならない

さあどうする？

倉庫となっているもう一つの部屋を死ぬ気で片付ければ

そこのエアコンで生き延びる事は可能

しかしこのだらしない性格が果たして堆く積まれたコレクションを

整理する事が出来るだろうか

死ぬ気で…

越して来て倉庫と化した部屋で寝た事はない

畳の部屋なのに…

とにかくこんな時にエアコンが調子悪いなんて

ホントに大殺界の停止を恨む私なのだった

ホルモン活性化

昨夜は速水パパから電話があって吉祥寺に誘われた

最近、当店は新人が増えたので

まだ慣れない彼らに任せてお客様を迎えに出る事が出来ず

せっかくのお誘いも断っていたの

昨夜はサナエさんが突如出勤してくれたので

マヤも居る事だし店を任せて速水パパのお誘いに乗る事が出来たのだ


一ヶ月ぶりに訪れる某クラブ

なんとゲストはパパひとりだけ

いつもは何組かのゲストが談笑しているのに珍しく暇だった

ママが「オープン以来の暇よ」と耳打ちする

当店も６月は暇で、梅雨らしく連日雨だったら

きっとお手上げだろう

それに来月は選挙も控えていて、それも多少は影響しているのかも

「ママ大丈夫よ、速水パパと私は招き猫だから、この後お客様見えるわよ」

気休めながらママを励ましておいた


その後パパは同じビルの他店に顔を出して来ると出掛けた

私は何人かのキャスト達と飲んでいたら

ドアが開いて素敵な紳士とイケメンが入って来た

他店ながら職業病だろうか「いらっしゃいませ～」

変わったのが居ると興味を示されたその紳士が

テーブルに呼んで下さった

他所の店なのでゲストにもキャストにも失礼のない様に気を遣いながら

お相手させていただいた

とても感じの良い殿方で暑苦しいオカマの戯言にも相好を崩して下さった
楽しいひとときはあっと言う間

顔見せ興行を終えて戻って来たパパと贔屓のアキちゃんを連れて店に戻る事に

久々に他所の店で素敵な殿方と触れ合えてホルモンが活性化した私なのだった

和式から洋式へ

土曜日の営業が終わり、後片付けを済ませて

いつもならメイクを落として帰るのだが

午前中にトイレの工事業者が入るので

簡単にトイレ及びその周辺を片付ける事に


当店のトイレは和式で一部のお客様からは不評だった

特に女性は用を済ませ立ち上がる時にバランスを崩しそうになるとか

年配の方にはしゃがむのがキツい等の苦情が相次いでいた


一昨年にお客様がトイレ内のタンクを破損した事があり

しばらくヒビの入ったタンクから水漏れしていたが

特殊なボンドで補修して水漏れは解消した

その時に洋式トイレに変える案が出たのだ

しかし当時は店が暇で工事費用の捻出はままならなかったのだ

今回ママからの提案で和式から洋式への変更が行われる事となった

トイレを変えたからと言って客足アップには繋がらないだろうが

少なくともご不便かけていたお客様には快適に使用していただけると思う

そう言えば隣のトイレもお客様に壊されたってママが嘆いていた

修理は済んだのだろうか