愛を求めて

蒸し暑い一日の夕暮れ

出勤前に地元のファスト中華で腹ごしらえ

昨夜の営業を振り返ってみる

最近、金曜日がイマイチ客足が伸びなくて悩みの種だが

昨夜は幸先良いスタートを切り久々大入り？なんて皮算用も

日付が変わる頃には、ため息に変わっていた

後に中々お客様が続かないのだ

お見えになった先客には感謝しつつも

ドアが開いて賑やかな声が入ってくるのを待ち侘びていた

この夜、初めて覗いてくれたシニア男性

こわごわと中を伺っていたのを「さあ勇気を出して入って来て…」と迎え入れた

胸元の開いたワンピースもなまめかしいハルナを配置

しかしオジサマは何だか落ち着かない様子である

ナメられない様に虚勢を張っているのは解るが潔くないのである

女性にしか見えないハルナにすら「アナタ男でしょ？」

オカマバーなのだから当然である

俺様は一人で入ったが違和感があって居心地悪いと言うテイを装いたいらしい

そんなケはさらさらないのだ誤解するなと言わんばかり

ハルナとバトルタッチして彼の自尊心を傷つけない様に最大限の配慮をしつつ

ホンネを引き出そうと話を持って行く

５０代後半とおぼしき彼は女房と別れてから結婚相談所に入会するも

理想の相手には中々巡り会えない

黒木瞳が理想らしいから道は遠い

彼の本音としては遊び相手が欲しいのだが

紹介される相手は結婚前提である

そりゃ当然だろう

セフレが欲しけりゃ別の所に登録すべきだろうが

何たってプライドの塊の様な彼にそんなはしたない事は出来ずに

理想と現実に悶々としながら、ついオカマバーの扉から中を伺った次第である

その内に彼は隣の女性にちょっかいを出しはじめ

面倒臭い事になりそうだったのでタイムアップを告げてお帰り願った

彼の描く幸せはいつ来るのだろう

愛を求めてさ迷う初老のオジサン

もっと素直になれば良い出逢いもあるかもね