体験入店のヨウ

一昨夜、遅い時間に遊びに来たヨウ

彼は今、九州の山間の町で叔父さんの仕事を期間限定で手伝っているが

その仕事も終盤に差し掛かり来月にはまた東京に戻って来る

ヨウは３１歳の独身だ

職歴はあまり話さないが最近は親戚筋の手伝いで糊口を凌いでいる様だ

彼は小さい頃から兄に暴力などで抑圧された生活を送っていた事を告白している

腕には自傷もしくは兄或は第三者から受けたかの様な跡も見受けられるのだ

人懐っこさと猜疑、更には酒が入ると短気になりパニックを起こす場合もあった

やや不安定な所があるが普段はとても気遣いのある好青年なのだ

そんな彼が「叔父さんの仕事が終わったら此処でバイトしたい」と言いだした

当店はゴールデンウイーク前に深刻な人手不足に陥り

常連客の女性などにヘルプを頼み私と二人で営業した事もあった

その時にたまたま遊びに来ていたヨウにも声かけしたが諸事情で叶わなかった

その後新しいスタッフが入り今の所は飽和状態である

但し金曜日に付いてはママが欠勤の場合が多く

客足が多く予想される曜日の割には４人体制とやや心細い

なので昨夜の金曜日にヨウを体験入店と言う形で様子を見る事にした

勿論、お客さんとして遊びに来ているのとスタッフとして働くのでは

まるで違うのだと言う事もしっかり教えたし

手強い酔客も多く厳しい言葉をぶつけられる事も珍しくないとも教えた


金曜日、ヨウはまだ私がメイクする前に現れた

殊勝な態度で挨拶し、やる気満々である

果たして結果は…

次回に続く