ハロウィン

土曜日の仕事が終わって小田急線に揺られ

地元駅に着いた

１１月を目前にした朝だけあって肌寒い

１０月と言うのは上旬と下旬で

街行く人の着ている物がガラッと変わる

既にコートを着た女性も目に付く様になった

そんな朝に電車を降りて後方から

突拍子もない格好の外国人が２人私を追い抜いた

片方の男が奇声を上げている

彼は映画「テルマエロマエ」の阿部寛の様なワンショルダーで

その生地もまるでシーツの様な薄さだ

腕にはタトゥーが入っている

さぞかし寒いだろうが

そのままエスカレーターで改札階に下りた

すれ違う朝練の運動部の高校生たちが笑いながら見ている

相方の外国人は白い全身タイツで

頭には加藤茶のハゲづらを乗せている

彼らは改札を抜けると違う方向へ歩いて行ったのだが

シーツを纏った彼は駅へと向かう人の目を釘付けにして

私と同じ方向へ歩いているのだ


それにしても何でこんな格好で？

歩いている内に道の両側のお店のディスプレイが

答えを教えてくれた

ハロウィンだ

彼らはきっと都心のバーで大騒ぎした帰りなのだろう

普通ならコスプレは会場の近隣のトイレなどで済ませ

パーティが終わったら着替えて帰るのだろうが

彼らはドア・ツー・ドアなのだ

そう言えば２日くらい前の朝にも

パンプキンの魔女みたいな格好の背の高い男が

ごく普通に私の前を歩いていた

その人のコスプレはまるでドラァグクイーンだった

地面を掃除する様に黒いマントを引き摺って

軽快な足取りで住宅街へ消えて行った


昨夜一番乗りで遊びに来た女装家のＲさんも

土曜日にアキバでミクシィのパーティがあった様で

デジカメの写真を見せてもらったが

アメリカから直輸入のボンデージにエナメルのニーハイ

「この格好でアキバまで行ったの？」とは怖くて聞けなかった