おかまのよろめき

現役おかまのお店日記&趣味のはなし

思い出してみた

2010-12-22 15:46:22 | Weblog
明日は天皇誕生日で休みだ

雨の影響もあり昨夜が暇だったので

今夜は挽回できると良いのだが…


24日のイブに有給を取って4連休にするH子

正月休みの前にクリスマスでも休みを取れて

何て羨ましいのだろう

しかし年末で仕事も何かと忙しいだろうに

大丈夫なのだろうか

「今年はボーイフレンドとゴルフに行くの」

彼女の口からおのろけが飛び出した

「あら良いわねェ

 私なんかクリスマスなんていつも仕事だわよ…」

ここ何十年もクリスマスを誰かと過ごした事なんて記憶にない

我ながら寂しすぎる


昔、大阪のレンタルビデオ屋でバイトしていた時の話

まだ20代の半ばでいつも素敵な出会いを求めていた

後輩のバイトは彼女を店に連れて来てはイチャイチャ

クリスマスイブは何処かへドライブに行くらしい

私は何の予定もなくて、ただひたすら店で働いていたのだ

そんな私を不憫に思ったのか

店長(経営者)がその夜近所のスナックに誘ってくれた

いつもなら麻雀屋に入りびたりで店には殆ど居ない人だったが

珍しくその夜は閉店一時間前にはスタンバイして居て

後片付けを終えた私を車に乗せてくれたのだ


甘いマスクの店長は女には不自由していなかったと思われるが

この年のクリスマスにはたまたまフリーだったのかもしれない

連れて行かれたのはカウンターだけの小さなスナック

細身のママが一人で切り盛りしていたように思う

「このママ大場久美子に似てへんか?」

と言うよりも漫才コンビの“ミヤ蝶美・蝶子”の痩せた方に似ていた

仕事終わりでお腹の空いていた私に蝶美は

「焼きそば作ったるわ、目玉焼き乗せやで」

狭いカウンターの中で甘いソースの匂いを漂わせながら

彼女はフライパンのそばを炒めている

その様子を目を細めながら眺めている店長

もしかしたらこの蝶美に惚れてるの?

て事は私はダシにされたの?

ま同情よりはマシかもしれないけど

何となく複雑な思いで彼女の作った焼きそばを食べた

悔しいけれどとっても美味しかった


店を出て店長は私をアパートまで送ってくれた

学生街のワンルームマンションは相変わらずの不夜城で

特に今夜はどの部屋も特別なあかりが灯っているように見えた

このまま一人で寒い部屋に入るのは寂しかった

店長を一度この部屋に入れた事がある

引越しの時に荷物を運んでくれたのだ

中に入って熱い飲み物でも勧めるのは変だろうか

逡巡している私に運転席から「また明日」の声

車は狭い路地をバックしながら大通りに消えた

あの焼きそばを作ってくれた女の元へ行くのだろうか


さっきから車の中に流れていた

KUWATA BANDの「ONE DAY」が

いつまでも耳から離れなかった

















コメント
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