おかまのよろめき

現役おかまのお店日記&趣味のはなし

やっと開放された

2008-11-25 14:18:05 | Weblog
T社長のアフターは果てしなく続く

中華料理店で食事を終えたら、昼の2時過ぎ

ランチタイムのお客さんも既に帰って

残ってるのは私たちだけだ

T社長はこの店でもかなりの常連らしく

中国人スタッフの女性をからかっている

店側としても、そろそろ帰って欲しいと思ってるだろう

私たちもかなり疲れていて

お暇するタイミングを見計らっている


それにしても食べ過ぎた

脂っこいモノをこれでもかと詰め込んだので

ゲップよりも違うモノが出そうだ

更に社長が吸うタバコの煙がもろに私にかかるので

全く吸わない私はかなり具合が悪くなった

日頃、店では全然気にならないタバコの煙が

この状況では毒ガスに感じられた

「さあ次は何処に行こうか」

「こんな時間から開いてる飲み屋ってあるの?

 しかも日曜日だし…」

「オレが開けさせるから任せとけ!」


高齢者ばかりが集まる飲み屋があるらしく

そこならもう開いてるはずだと言う

電話番号が分からないので

Sのヤマモトさんが直接見に行くという

この人も83歳でかなりの高齢だ

食事の間中、戦争中シベリアに抑留された話をして泣いていた

さらに入れ歯が壊れたと困っている


かれこれ20分くらい経っただろうか

店はやはり閉まっていたようだ

やった~!これで開放されると思ったら

何と違う店のあてがあると言うのだ

しかもここから僅かの距離なのに

タクシーを使うとの事

休日の昼下がりで人通りの多い繁華街

疲れ果てて化粧もボロボロのオカマ2匹とお爺ちゃんを

連れて歩くT社長はとても目立つだろう

この界隈には彼の知り合いがウロウロしているそうなので

あまり見られたくないらしい


通りまで出てタクシーに乗る

ヤマモトさんが道案内をするも

T社長の記憶とは違う方向を指示している

到着したのはかなり人通りの多い商店街だった

人の目がかなりの勢いで突き刺さる

雑居ビルのエレベーターで4階に上がるが

シャッターが下りていた

どうやらヤマモトさんの記憶違いだったようだ


仕方ないので、近くのモツ焼き屋に入った

この店に社長の知り合いが居るのだそうだ

店内は昭和レトロなレイアウトで

30年代の映画ポスターやホーロー看板

それにブロマイドなどが壁一杯に貼ってあった

さっきの中華がまだ消化していないのに

モツなんてとても入りそうにない

仕方なくウーロン茶を頼んだ

注文を取りに来たオバちゃんによると

社長の知り合いは7時過ぎに来るそうだ

あと3時間はある

まさかそれまで居るのかと思うと気が遠くなった

おまけに社長はここでも他のテーブルの学生に声をかける

無理矢理にホルモンを奢られて説教を聞かされる

“変なオヤジだけど、面白そうだから付き合ってやるか”

私とサキ、ヤマモトさんの3人はいたたまれない


時間が経つのが遅い

早く7時にならないかしら

その内、学生たちも腹一杯になって店を出た

今度は違うグループに接近する社長

ホントに人と触れ合うのが好きなんだろう

根は寂しがり屋なんだと思う

私たちがもう少し元気だったら

社長の相手できるんだけど

既に心配停止に近い状態である


やっと7時になり社長の知り合いがホールに入った

既に店内は満席でスタッフもてんてこ舞いだ

いちいち社長のご機嫌を取っている暇なない

「社長そろそろ私たち門限だわ」

「分かってるけど、もうちょっと待て」

そこへ若いカップルが相席となった

オトコは彫りの深いイケメンだ

社長が待ってましたとばかりに話しかける

彼はとても愛想良く社長の質問に答えている

連れの女も何となく楽しそうだ

いつの間にかヤマモトさんは私たちを置いて帰っていた

もう限界だ

「社長、ホントにごめんなさい、もう無理」

多分、顔色はかなり死人に近かったと思う

さすがに社長もこれ以上付き合わせるのは酷だと思ってくれたらしい

タクシー代をテーブルの下から渡してくれた

時計の針は8時を指していた


私とサキは大通りに出てタクシーを拾った

信号待ちの大勢のギャラリーが

まるでお笑い芸人を見るような表情で

私たちを眺めていた

乗車拒否されずに済んでホッとした

行き先を告げると運転手さんが

「昨夜もお客さんたちを乗せましたよね」

何と言う偶然だろう

しかし最早、それを何とか思う気力も失せていた






















コメント
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