ペーパー教習

八王子自動車教習所が倒産したそうだ

私もここでペーパードライバー教習を申し込んだ事がある

運転免許を取って１０年近くが経っていた

ほとんどハンドルを握っていなかった私は

仕事の都合上、どうしても車の運転を必要とされ

仕方なくココの門を叩いたのだ

確か日野の方にあって、スクールバスに乗って一度だけ行った

その時の運転手がとても感じ悪かったのを覚えている

授業料が安いので学生が多く、順番待ちで半日を費やした

しかも当日分ではないのだ

４回分のチケットを先払いで購入したが

不愉快なスクールバスに揺られ、こんな辺鄙な所まで来て

挙句このザマかと思うと馬鹿馬鹿しく思えてきた

結局予約を取った日に教習所へ行く事はなかった


ペーパー教習を断念した私は、ゲイの友人に一日教官を頼んだ

レンタカーを走らせ、人通りの少ない場所を目指した

その友人は常に車を乗り回し、道を熟知していたので

初心者の私にも安全で練習に適した場所に連れて行ってくれた

そこは建売住宅の建設予定地だったように思う

だだっ広い敷地が幾つもの区画に仕切られ

ちょっとした教習コースの様だった

そこで３０分くらい運転した

久々だったので物凄く緊張したが

何とかスムーズに走らせる事が出来た

「じゃあ今度は一般道路よ！」

オネエの友人はすっかり教官になっていた


どこかの閑静な住宅街で教習は続けられた

ほとんど人も車も通らない

ホントにこの住宅街に住人が居るのかと思うくらいだった

そのエリアを何周かした頃

後ろに一台の車が接近してきた

バックミラーでよく見るとコワモテの若者だった

「やだ～！どうしよう、何とか追い抜いてくれないかしら」

私は制限速度を守ってモタモタ走っている

どこかの路地に入りたくても一方通行が多くて

うまく逃げられない

その時、やや広い道路に出た

後続の車は一気に私たちを追い抜いてくれた

ホッとしたのも束の間

何と次の交差点で事故を目撃してしまったのだ

片方の車は凄い事になっている

その横を通り抜けた際に

“きっと私もあんな風になってしまうんだ”と震え上がった

その途端もう運転は無理と思った

教官のゲイに懇願した

「もう堪忍してェ～」


レンタカーは終日の予定で借りたが

僅か２時間程度で私のペーパー教習は幕を閉じた

結局仕事先ではタクシーを貸し切る事になり

運転は免れたのだが

もうホント死ぬかと思った～（大袈裟）