おかまのよろめき

現役おかまのお店日記&趣味のはなし

手術を終えて

2008-11-19 10:27:42 | Weblog
強い日差しが照り付ける中、私は中野坂上を目指していた

鞄の中にはATMで下ろして来た一万円札が25枚、封筒に入っている

そう、手術を受ける為にカウンセリングを受けて一週間

私の決意は変わる事がなかった


その病院の窓口では先生が書いた本が売られていた

他の美容外科でも似たような事をしている

私はカウンセリングを受けた日にその本を購入した

主に目と鼻の手術に関する内容だった

この一週間でその本を熟読し、術後の華やかな目元を勝手に思い浮かべていた


術前に写真を撮り、精神安定剤を飲んだ

手術室は想像していたものとは大きくかけ離れ

かなりレトロなイメージで、室内は蒸し暑い

ベッドに仰向けに寝るとマスクをした先生の顔が近付いて

マブタに麻酔注射を打った

それから数分の後、手術が始まった

切開法なので時間がかかるようだ


マブタにメスを入れた瞬間、血が溢れ出て頬を伝った

慌てて先生がコットンで拭いたが

痛みがない分、余計に気持ち悪くなった

マブタの脂肪を少し抜いて貰ったときに

「抜いた脂肪を見ますか?」と聞かれたが

とてもそんな勇気はなかった


縫合を済ませ片方の目が終わったのは40分後だった

更に40分、同じ思いをするのだと思うと

気が遠くなりそうだ

でもこれを我慢すればパッチリした目元が完成するのだ

色んな整形芸能人の顔を思い浮かべ

“あの人だってこの苦痛に耐えたんだから”と

自分を奮い立たせた


「はい終わりましたよ」

蒸し暑い手術室のベッドの上で私は汗ビッショリになっていた

「一週間後に抜糸ですから、それまでマブタのガーゼは取らないで」

用意してきた大き目のサングラスをして自宅に戻った


ビューティ・コロシアムなどの整形番組は

術後すぐの腫れた患部をあまり見せない

かなりグロい場合があるからだ

私の場合もかなり痛々しいものがあって

思わずビデオカメラにその惨状を撮った


抜糸を終えてもまだまだ腫れが引くまでに時間がかかる

近所のスーパーへ行く以外はほとんど引きこもり状態

一度だけ映画を見に行った

場内が暗くなってからおもむろにサングラスをはずす

そしてエンドタイトルが流れ出すと今度はあわててかける

顔を見られちゃマズい、誰も見ちゃ居ないけれど

気分はまるで指名手配犯のようだ


手術から3週間が経過していた

ママから電話があった

「ねえ、そろそろ店に出て来られないかしら?」

人手が足りないようで困っていた

たっぷり一ヶ月は休養したかったのだが

あまりワガママも言ってられない

次の日にまだ腫れた目元で店に出た

アイメイクは少し控えめにしたが

それでもフタエの幅がやけに広く感じられ不自然だった

同僚たちは興味津々に尋ねてくる

プチ整形をしてる子は多かったが

切開法でバックリ切っちゃうのは私だけだった

結局、落ち着くまでには2~3ヶ月はかかった

この先美容整形を受ける時間もお金もないけれど

ウチのママのように常に美への飽くなき追及を目指してる人は

些細な事でもすぐに病院へ行く

それに日頃の努力も忘れない

そのエネルギーたるや脱帽ものである


ところで加齢による皮膚の垂れ下がりは

マブタの幅をも狭めてしまう

若さを取り戻す為に

最近では50歳以上の男性歌手の中に

目元を直す人が見受けられる

他の部分は年相応なのに、目元だけが若返って不自然だ

“目は口ほどにものを言う”

有名人はやはり歯よりも先ず目なのだろうか