あさって向いて唇をつんと尖らせる。ひとみはとろんとうるおわせてわずかに痙攣気味にする。腰を突き上げて、大切な部分は決してあからさまにしないように白い布でカモフラージュし、影としてほんのりとうかがえる。太陽が燦々と照りつけて肌をこんがりと焼く、すでに小麦色であり、それをさらにころころ転がして、じんわりと汗が浮かび上がる。曲線をなぞってしとーっと落ちる。砂浜にしみ込んですぐに乾いてしまう。髪は短く実に健康的である。浜風が吹いてさらさらと遠慮がちに揺れる。揺れてこそばすからくすぐったいと少し体がきゅうとなって、それが実に愛らしい。ああ、尖らせた唇はまた開いて何かつぶやいている。何をその口でつぶやいているのだろうか、いちいち気になる。シャッターの音が、波の音に消される。背中についた砂。飲みかけのコーラ、紙飛行機、飛ばしたら、海を越えるかな、あなたに届くかな。
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