リッスン・トゥ・ハー

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青鬼ユーモラスに舞う

2010-02-12 | リッスン・トゥ・ハー
青鬼が暴れている。
村を破壊している。という情報が走った。
何しろ力の強い青鬼のことだ、瞬く間に村は破壊されていく。村人は困った。青鬼を止めたいが、あの凶暴さと言ったら、怒り狂った猪のように手が付けられない。近づけばこちらがやられてしまう。仕方なく村を破壊する青鬼を遠くから見ていた。
そこにやってきた赤鬼は、青鬼の首根っこを掴むと池の方に放り投げた。えいや、と赤鬼は本気で怒っていた。青鬼が演技で村を破壊していることは知っているが、それでもそんなに壊したらあとで大変だろうが。赤鬼は池から上がってきた青鬼に殴りかかった。青鬼も負けじと殴りかかる。村人はその壮絶な打ち合いを遠くから見ていた。とりあえず喧嘩してるみたいだからそっとしておこうか、いつ2匹の牙がこちらに向くとも限らん。
壮絶な打ち合いの末、ぼろぼろになった青鬼は逃げだした。村人は固唾をのんで見守る。赤鬼は罵声を浴びせた。その迫力に村人は震え上がる。
やがて青鬼がみえなくなると、赤鬼は村人たちの方へ歩いてくる。どこか笑っており、見ようによってはとても不気味であった。赤鬼は村人たちと仲良くなりたいだけなのに。
さいしょこそ、両者の間に戸惑いが見られたが、時間の問題であった。
赤鬼は村人にとけ込んだ。嫁ももらい、子をもうけた。村人として権利も裁判で勝ち取った。幸せであった。気になるのは、こてんぱんにやっつけて罵声を浴びせた青鬼のこと。もうずいぶん会っていなかった。村人にほんとうは演技であったことを言っていない。おそらく言ったとしても村人は受け入れてくれるだろう。もし受け入れなくても最高裁まで争うのみ。
赤鬼は青鬼に会いに山に登った。そして青鬼のすみかについて中に入ろうとすると戸に張り紙があった。

『赤鬼君へ、元気かい?僕は元気さ、あの件うまくいったかい?君が村人に受け入れられるとぼくも嬉しいよ。さて、僕は、君が僕といっしょにカバディをするところなんか見られたら誤解されるかもしれないから、旅にでます。きっと一生あわないことでしょう。どうか幸せに暮らしてください。僕のことは早く忘れてください。君のともだち・青鬼』

赤鬼はおんおん泣いた。涙は大きな池を作った。
日も暮れて、泣きつかれて、ふいに青鬼の家の戸を開けてみるとそこに青鬼がいて、なんかユーモラスに舞ってて。

アルトコロニーの定理/RADWIMPS

2010-02-12 | 若者的図鑑


ラットウィンプスの新譜、といってももう3ヶ月ぐらいたちますか、ベビーローテーション入りしています。

くんくんと気になる曲ばかり。
このよわっちい声が素敵ですよね。芯ありますよ。

謎謎、メロディアスで流れるような歌ですか、勢いもあり、思わず口ずさんでいる不思議さ。
この流れるようなメロディラインは私はやっぱり、バンプオブチキンの流れかな、と感じます。

バンプオブチキンの果たした役割として、その後に誕生したいくつかのバンド、アーチストのための道を造ったバンドだと思いますが、イズムとしては流れています。いい方で。それをしっかり昇華し、自分たちのものにしているから文句なし。

歌詞に見られる若さは、これから十分成熟している別の魅力を出し始めるでしょう。
今はこの勢いを存分に活かした歌詞、耳にスムーズに入ってくる音。大切に。

もう化けますね確実に。今以上になりますよ、ラットウィンプス。間違いない。今更いうことでもない。
そうですね、でもいいじゃないか、思ったんだから仕方がない。

De l'adoption au trafic

2010-02-12 | リッスン・トゥ・ハー
暗い室内にいる。確かにいるはずなのに、むこうから姿を見せない。じっと待っている。隠れている。そして俺が近づけば噛み付いて離さないつもりなのだろう。気をつけなければならない。噛み付いた奴は決して離さない。たとえ首を切ったとしてもまだ食らいついている。そしてその唾液で皮膚を徐々に溶かして、食うのだ。すぐに切り離さないと命はない。だから俺は慎重に奴のいる位置を見極めようと目玉をぐるぐる動かす。しかしこの暗さである。せめて灯りがあればなんとかなるのに。俺は玄関に懐中電灯が置いてあることを思い出す。あれは明るいタイプの非常に重宝するものだった。だからあれを持ってきて、てらしてやればびっくりして逃げ出すかもしれない。所詮、サンタクロース、文明の力で圧倒すれば問題ない。俺は素早く玄関にむかう、とがたがたと音が聞こえ、あ、と思った次の瞬間にはすでに噛み付かれている。服の赤さが暗闇でもやけに鮮やかで、長いひげが皮膚にそわそわあたってこそばゆいや、とおぼろげながら思ったところで意識がなくなる。