夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

サミットのエゴ、ブッシュのエゴ

2008年07月11日 | Weblog
 サミットが終わった。成果があったのか無かったのか。
 でも、サミットって「頂上」だよね。summit conference=首脳会議、なんだから仕方がないが、ずいぶんと傲慢な考え方だと思わないだろうか。そして「主要先進国会議」なのだ。「先進国」はまあ大目に見ても、「主要国」とは何たるいいぐさか。
 日本でも「有識者会議」などと言うのがある。「有識者」。随分な言い方である。
 主要先進国などと言うから、インドや中国が、お前達がやって来たのと同じ事を俺達にもやらせろ、と言い出すのだろうと、私は思っている。同じ事をすれば、自分達も主要先進国になれるのだ、と。
 どの国もみんな、「エコ」ではなく「エゴ」で、本当に厭になる。

 会議に先立って日米首脳会談が行われ、ブッシュは拉致問題は忘れない、と言ったそうだ。覚えていたって、何にもしないんだろう、と私は思っていた。そうしたら、この言葉は日本のマスコミがでっち上げた言葉だと言う。
 正確には、「拉致問題に関して、あなたがたの事を忘れない」と言ったのだそうだ。拉致問題を忘れないと、我々の事を忘れない、とではまるで違う。いくら、拉致問題に対してだと言っても、迫力が遥かに劣る事は間違い無い。私の思った、忘れなくても実行しなければ同じだ、と全く同じではないか。
 マスコミはこのように伝えたが、福田総理は直接にブッシュから話を聞いたのであり、通訳もいたはずだから、正確な事を知っている。それとも二人ともいい加減な英語力しか持っていなかったか。

 ブッシュが卑怯な言い方をしたのは、彼の性格にまさにふさわしいから、文句は言わない。だが、それをまるで日本の味方であるかのように報道するマスコミの欺瞞は絶対に許せない。英語力が無いなら取材などするな。
 アメリカからは我が国に対して年間何百件もの「要望」が出されていて、ことごとく日本が受け入れているらしい。最たる物が牛肉の輸入であり、郵政の民営化だった。その「要望」は英語でsubmission。和訳では「提案」もあるが、普通には「服従・降伏」「従順・恭順」である。
 まあ、文章語では「提案」だとしよう。しかし背後に背負っている「服従」などの意味は重い。それらの意味を全く捨て去った「提案」だけの意味にはなり得ない。
 しかし日本の役人はずっと「提案」だと言って我々をごまかし続けて来た。そしてアメリカは最近は日本がとてもよく言う事を聞くようになったので、この言い方を変えて、もっと穏やかな言葉にしたのだと言う。ふざけるな!!
 日本の役人もふざけるな!! 我々の税金で生きているくせに、何たる裏切りか。

 学校では、小学生から英語の教育を始めようと馬鹿な事を考えている。いいよ。そうした教育で、アメリカの欺瞞が誰にでも分かるようになるなら、それでもいいよ。しかしそうはならないだろう。英語の理解力も中途半端で、日本語も中途半端になるだけだろう。今だって日本語の理解力は大人もいい加減でまるで駄目なのだ。
 マスコミがブッシュの言葉を間違って伝えたのは多分悪意は無かったのだろう。彼らが英語を理解出来ず、また日本語も駄目だから、こうした伝え方しか出来なかったのだ、と私は思う。外国語がきちんと理解出来る人は、日本語も正確に理解出来るのであり、片方が駄目なら、もう一方も駄目なのである。当たり前だ。言葉とは考え方その物なのだから。
 こうした言い方をしても、マスコミに対して無礼でも何でもない。常日頃から、彼らの言動を見ていれば、誰だってそう思うはずである。