夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

全面禁煙のホームでたばこを売るJRの汚さ

2009年03月17日 | Weblog
 東京と九州を結ぶブルートレインが遂に無くなった。別れを惜しむ人々で一杯だったとテレビや新聞が伝えている。新幹線やバスに客を取られての引退だと言う。客が少なくなったから、無くなる。経済的に考えればそうなる。しかし世の中は金だけではない。金では買えない旅情とかもろもろの物は一体どうなってしまうのか。採算は合わないのだが、何とかやっている、と言うような事があったっていいじゃないか。客が少ないなら編成を短くするとかして、そして新幹線で儲けた利益をそこに注ぎ込んだって良いではないか。何でトータルで考えないのだろうか。JR東日本の顧問が書いた本には民営化して一日52億円の赤字から1日26億円の黒字になったと書いてあるらしい。私は読んでいないが、広告で知った。そんな巨額な黒字が出ている事自体が信じられないが、そうした利益に比べたら、ブルートレインの赤字なんて雀の涙だろう。
 トータルで考えない答は歴然としている。わずかでも利益が減るからである。そこそこの利益では飽き足らず、もっともっと、と欲張っている。
 JR西日本は鉄道の運行の安全より、利益を優先していた。まずは利益があって、その次に安全があったのである。それをあの福知山線の尼崎脱線事故で、ようやく見直した。それはきちんと新聞の記事になった。
 JR東日本は新幹線が通ると、歴史ある信越本線をぶった切った。東北本線もぶった切った。切り捨てた部分は第三セクターに任せた。利益の望めない所は自分では経営せず、力の無い地元に押し付ける。それがJRのやり方である。第三セクターはやって行けないから運賃が上がった。
 利益優先だから、JR東日本は信濃川だったか、許可されている以上の水量を自社の発電所に回した。それがばれて、この秋の列車の運行に支障が出ていると言う。
 
 タイトルのたばこ販売だが、JRが経営するキオスクの売り上げの3割をたばこが占めていると言う。だからもったいなくて、販売をやめられない。禁煙は人々の健康のために取られている措置である。なのに、金儲けのためにはそんな事は考えていられない、と言うのがJRの本音である。
 鉄道の本分はもちろん、列車の運行である。安全で便利な運行である。そのホームを利用して物を売るのは、乗客の利便のためであって、儲けのためであってはならないはずだ。まあ、客の利便のついでに儲けるのは良いとしても、ついでなんだから、儲けにこだわる必要は無いのである。禁煙になるのだから、たばこの販売から撤退するのが当然の筋道である。
 国も汚い。利益になるなら国民の健康などどこ吹く風。規制を骨抜きにして恥じない。国鉄の民営化は単に金儲け主義の企業を、それも天下の大企業を増やしただけである。サービスが良くなったと馬鹿な事を言う人もいるが、良くて当たり前。以前が悪過ぎただけの事だ。そんな悪いサービスで職員はきちんと高給を取っていた。その証拠が一日26億円の赤字なのである。そうした面の是正が民営化の目的のはずである。利益はあった方が良いが、決して利益だけが目的ではないはずだ。
 
 こうした事から分かるのは、誰も彼もが金儲けに夢中になっているとのお寒い現実である。自分が儲かるのなら、他人がどんな不便を被っても構いはしない、と言うのが正直な所だろう。質量不変の法則と言うのがある。金儲けが出来るのは、その金を支払う人々が存在しているからだ。つまり、ある金が、一方からもう片方へと流れる。それだけの話である。金の全体量は増えもしなければ、減りもしない。だから儲ける人間が居れば、損する人間が居る。金を出した側を損をしたと思わせないように、様々なサービスが提供されている。そのサービスが、果たして出した金に見合うだけの物になっているか。
 見合っていれば、金を手にした人間も儲かってはいないはずである。
 金と言う名の物質と、心と言う名のはっきりと目には見えない存在に分かれてしまうからこそ、釣り合っているかどうかは分からなくなる。そこが金儲けの重要ポイントになる。金なら数えられるから簡単には人を騙せない。しかしながら、心なら数える事は不可能だから、簡単に騙されてしまうのである。もちろん、見る目のある人が見れば、いとも簡単に見破れる事ばかりである。
 見る目のある人、それは、人間とは何か、幸せとは何か、といったような事を常に考え、本質的な事を理解出来る人である。
 残念ながら、立法府にも行政府にも司法府にもそうした人材が不足している。多くの経済学者やマスコミにも人材が不足している。もちろん、日本をリードするような大企業にも不足している。日本列島全体が人材不足なのである。宗主国であると威張っているアメリカがそうなのだから、アメリカの風向きばかり気にしてアメリカに倣え、を合い言葉にしている日本は立ち行かなくなるのである。