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夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

あした・あさって・やのあさって

2011年02月21日 | 言葉
 今週の予定を話していて、ある女性が 「あした・あさって・やのあさって」 と言った。私は思わず、えっ? と聞き返した。前にも書いたが、東京では 「あした・あさって・しあさって・やのあさって」 と言う。私はずっと東京育ちだから、間違いは無い。と言っても、生粋の下町育ちではないから、あまり大きい事は言えないのだが、その言い方でトラブルになった事は一度たりとも無い。
 しかし東京以外の東日本では 「あした・あさって・やのあさって・しあさって」 と言うらしい。
 この事を確かめようと色々な人に聞くのだが、どうにもはっきりしない。私のように断言する人はほとんど居ない。この女性にしても、 「やのあさって」 の次は分からないと言う。ほとんどの人が 「あした・あさって」 までは明確に言うが、その次は、もぐもぐと、口ごもってしまう。
 現在では何曜日の言い方が出来るから、その方がずっと確実になる。でも、多 分明治になって何曜日の言い方がされるようになったのだろうから、それまでは日本人はずっと 「しあさって」の次をどのように言うかは知っていた訳だ。
 それがすっかり何曜日とか何日の言い方に押されてしまったのは、確実性の問題もあるが、 「あさって」 の次が人によって違ったり、曖昧だったりするからだと私は考えている。

 国語辞典や日本語の専門書などによると、日にちの数え方はおおむね次のようになっている。
・東日本=あした・あさって・やのあさって・やのやのあさって
・西日本=あした・あさって・しあさって・ごあさって
・東京=あした・あさって・しあさって・やのあさって
・東京周辺=あした・あさって・やのあさって・しあさって

 「やのあさって」 などの 「やの」 は 「いよいよ」 の意味。 「しあさって・ごあさって」 は 「四あさって・五あさって」 の意味。 「あさって」 の辺りに 「さきあさって」 などの言い方が存在していて、それが 「三あさって」 と思われたりして、次が 「四あさって」 となったらしい。
 私は東京と東京の周辺で 「しあさって」 と 「やのあさって」 が逆転しているらしく、その理由を論理的に考えて結論を出しているが、長くなるので、割愛する。
 それでも、事あるごとに聞いたり調べたりしていて、地方出身の人だと分かると、もちろん知人に限るが、必ず「あさっての次の日を何と言いますか」と聞くのだが、てんでんばらばらの答がいつも返って来る。京都出身の奥さんと大阪出身の御主人の夫婦が隣に居たので、ある日「あさっての次の日を何と言いますか」と別々に聞いてみた。
 奥さんは「そんな事、考えた事もありません」 
 御主人は「そんな事、人によって違うのではありませんか?」
 なるほど、夫婦でも、これで通用しているんだ、と私は感動してしまった。まあ、あさっての次は何曜日とか何日と言っているのだろうけれど、相手の言う事にあまり関心が無い、と言う事だってあり得る。特に、約束があったりする以外は、他人の言う事なんて、あまり気にしていないと言うのが本当の所だと思う。多くの人々の言葉や話す内容を聞いていると、そうとしか思えない。