夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

スカイツリーの技術と原発の技術は関係が無い

2012年05月24日 | 言葉
 ある新聞のコラムが、スカイツリーに関しての日本の技術の高さについて書いていた(5月21日朝刊)。

 複雑な構造の鉄骨は一本一本職人たちが手作業溶接でつないだ。その結果、塔は高さに対して0・003%のゆがみしかない正確さでできあがった。モノ作りの伝統技である。耐震のための中心の柱には、法隆寺などの五重塔の心柱の技術が使われたそうだ。

 なるほど、そうだったか、と納得しながら読める。
 ところが、すぐ続いて、次のように書いている。

 原発をめぐって、福島の事故以来新たな原発の建設が長く中断すると、蓄積された技術が断絶する恐れがあるという。伝統の技術を継承することは日本の生命線である。天空の塔を見上げながらそんなことも考えたい.

 呆れて物が言えない。原発の中断で原発の技術は断絶する恐れがあるだろう。しかしそれは「日本の伝統の技術」などではない。執筆者本人が、五重塔の心柱の技術に言及しているではないか。五重塔の心柱などの技術と原発の技術はまるで違うはずだ。
 それに原発が優れた日本の技術の総決算であるなら、あんなにも無惨に破壊されはしなかっただろうとも思える。
 スカイツリー建設の技術と原発の技術を同一視するのは、明らかに「魂胆」がある。そうでなければ、非常に頭の悪い執筆者だと言う事になる。
 そう、だから、「天空の塔を見上げ」て頭を冷やすと良いだろう。