夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

新婚さんいらっしゃい、にとても楽しい夫が登場

2008年07月14日 | Weblog
 面白おかしい番組だが、日曜日のテレビ朝日(関東。関西では朝日放送だろう)の「新婚さんいらっしゃい」を私は好きでずっと見ている。何とも他愛もない番組で、やらせも多分にあるだろうが、とてもおかしい。大体、全国放送と知っていて、自分達の恥をさらそうと言う夫婦だから、面白くないはずが無い。
 7月13日、富士市でパブだったか、正確な事は忘れたが、水商売をしている夫婦が登場した。妻はその女性従業員の一人で、女性従業員はたくさん居る。しかしカウンターの中で飲み物や食べ物を作るのはこの夫ただ一人なのである。
 その夫の話ぶりがとても面白い。すべて軍隊式なのである。ところが、結婚前、彼が彼女の両親に会いに(結婚の許可を得るために)行った時の話になると、突然、会話調になる。それがまた非常に生き生きとして面白い。
 それなのに、司会の桂三枝はそれを遮るのである。「誰が言うてるのか分からへん」と、「お父さんが言った」「私が言った」などと、いちいち付け加えさせるのである。
 とんでもない。そんな事、言わなくても十分に分かる。そしてその夫はそれが実にうまかった。本当に生き生きと、何しろ、司会者との対話がすべて軍隊調だから、その突然の変わりようが、実に面白いのである。
 ね、ね、三枝さん。あんた落語でいちいち、「誰々が言った」なんて言っている? 
 そんな事をしたら落語なんかちっとも面白くないよ。
 もっとも、素直にそれに応じる夫がまたまた面白い。完全に司会者を食ってしまっている。

 それで思ったのだが、この夫のあまりの面白さに司会者は嫉妬したのではないのか。自分よりずっと面白い事に脅威を感じたのではないのか。だから、その面白さを中断させたのではないのか。でも、それでも結局は面白くなってしまった。面白い人はどうやっても面白いのである。
 馬鹿な事をしたなあ、と私は思う。結局は司会者が自分の程度の低さを如実に示しただけの結果に終わった。「誰が言うてるのか分からへん」と言った事で、まずはその理解力の無さを示してしまった。いや、そうではない。理解力は十分にある。嫉妬心を見せてしまった。自分が食われている事を感じて、それを何とか挽回しようとした。でも駄目だった。そして後で録画を見てもそれに気が付かない。
 私なら、あっ、これはまずい、と思う。そして顎足付きで、つまりは旅費と食事代を負担しても、もう一度スタジオに来てもらって、撮り直しをする。そして十分に夫の面白さを発揮してもらう。

 先にやらせもあるだろうと言った。当然に司会者もうまい。だが、本当に番組を持たせているのは、出場するそれぞれの夫婦なのである。司会者がどのように面白く持っていったって、肝心の夫婦が面白くなくてはどうにもならないはずなのだ。長寿番組なので、司会者は慢心したのか。
 長寿番組ではよくある事だ。自分が優れているから番組が持っている、番組が面白い、と心底思ってしまう。確かに司会者は優れている。だが、取り上げる材料がバラエティーに富んで面白いから長寿番組になっている事を忘れてはいけない。
 それに引き換え、山瀬まみのでしゃばらないアシスタントぶりは私は気に入っている。昔はずいぶんとすっとんきょうな女性だなあ、と思っていたが、近年はすっかり見直してしまった。自分をわきまえた立ち居振る舞いがとても気に入っています。まみさん? 応援しているよー。