俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

電子投票

2016-07-16 09:58:20 | Weblog
 何度も書いたことだが賛否を問う住民投票には重大な欠陥がある。賛成意見は一様だが、反対意見は多様なのに二者択一を強いられることによって一様な「反対」に集約されてしまう。この欠陥を克服する方法として、アンケートなどで多用されているように複数の選択肢を設定することを提案する。
 この方法の欠点はデータが膨大になるので従来のような手作業による集計では対応できず自ずから電子投票に変更せざるを得ないことだ。
 抽象的な話では訳が分からないので、これまでに何度も取り上げた図書館の新設を例にしよう。
 選択は五択として有権者は○×式ではなく持ち点5点を自由に配分できるものとする。選択肢は次のとおり。①原案どおりにツタヤに委託する②委託料を(  )円に減額した上でツタヤまたは他の事業者に委託する③(  )円で直営図書館を作る④図書館は作らない(代わりの使い道については改めて別の住民投票で民意を問う)⑤現在の首長や議員による不正が横行しているから先に選挙を実施する。
 この5つの選択肢は思い付きだから到底ベストとは言い難いし五択より三択や四択のほうが良いかも知れない。それは案件ごとに柔軟に対応すべきだろう。市民は官公庁からの提案に対して、例えば①と③に2点ずつというように評価する。持ち点は必ずしも使い切る必要は無いが超過はできない。この電子情報を利害の異なる2つの組織(例えば市役所と共産党など)に送信する。
 現状とは余りにも違う改革案なので不備もあろうが、このままでも現状の二者択一制度と比べれば遥かに正確に民意を汲み取れる。主権者たる国民に二者択一を強いることは国民が政治に参加することに対する重大な侵害だと私は考える。自由回答が理想だが流石にそれでは集計不可能になるから、次善策として多数の選択肢を用意すべきだろう。
 住民投票はこれによって改善できるが通常の選挙の改善は容易ではない。一昨年の衆議院選挙で実際にあったことだが、立候補者が公明党と共産党だけであれば半分以上の有権者は意思表示をできない。これはゴキブリかダニかの「究極の選択」のようなものだ。「マイナス票」という案もあるが、電子投票であれば他地域の候補者に対する投票を認めるべきだろう。国会議員は本来、地域の代表ではないのだから地域に縛られる必要などあるまい。他地域に対する投票は1/2票になるなどのハンディを付ければ、大半は地元に投じられ、どうしても地元に投票できない人の救済策として他地域の候補者が選ばれる。中には1/2票になることも覚悟の上で積極的に他地域に投票したいという人がいても構わない。