俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

統計

2015-03-26 10:26:01 | Weblog
 「消費税が5%から8%に上った結果、収入の少ない世帯の方が税負担の度合いが重くなる逆進性がいっそう強まった」という記事が24日の朝日新聞に掲載された。なお19日に発表された日本生活協同組合連合会(日本生協連)によるこの調査結果について、今日(26日)現在、朝日以外の読売・毎日・産経・日経の4紙は報じていない。
 朝日新聞の記事によると「収入が400万円未満の世帯の収入に占める消費税負担率は5.44%で、1000万円以上の世帯の負担率2.94%の1.85倍となった(一部編集)」とのことだ。
 誰でも疑問に思うだろうが、収入額で消費税負担額を割ってどんな意味があるのだろうか。消費税は所得税などとは違って支出に掛かる税金だ。これを収入で割ることは、税額を身長で割って「小柄な人ほど負担が大きい」と言うのと同じくらい無意味なことではないだろうか。私のような年金生活者であれば収入よりも支出のほうが多い人も少なくない。年金で足りない分は貯金を取り崩して使っているからだ。現役世代で収入の多い人なら貯金に回す人が多くなるから支出率が下がる。支出率が低ければ収入に対する消費税負担率が低いのは当たり前のことだ。但し貯金に回すことによって消費税負担額は却って増える。現在は8%の税率だが取り崩す時点では多分10%以上に上っているからだ。
 こんな疑問を持ちながら日本生協連が発表した元資料に当たってみれば案の定だった。元資料では支出に占める消費税負担率も提示されており、こちらは収入による格差は無かった。年収600~700万円台の負担がやや低くなっていたが、これはこの層の世帯主年齢が51.1歳と最も若く、非課税である教育費のシェアが高いことが原因と思われる。
 朝日新聞が消費増税の犠牲者のように報じている年収400万円未満の層のプロフィールを見れば、世帯主年齢65.9歳、収入3,051千円、支出3,065千円だった。この層だけが収入よりも支出のほうが多かった。最も高齢層であることから多分、現役を退いた年金生活者が少なからず含まれているのだろう。収入よりも支出のほうが多ければ、収入に対する消費税負担率が高くなるのは当然のことだ。
 朝日新聞の悪い癖が出ている。消費税に逆進性があることは事実だがデータを歪めてまで誇張する必要はあるまい。日本生協連の調査は至極真っ当なもので事実を伝えている。これを摘み食いして世論操作に使うところが朝日新聞の致命的欠陥であり、「従軍慰安婦の強制連行」という大失態のあとも一向にその体質が改善されていないことがよく分かる。報道機関の仕事は事実を極力正確に伝えることであり誇張して世論を煽ることではない。
 
 ※コメント欄に朝日新聞の記事を転載していますので参照願います。

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記事 (管理人)
2015-03-26 10:32:26
http://www.asahi.com/articles/DA3S11666220.html
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