あくまで草野球レベルでの話だが私は上手い外野手だった。試合が始まってしばらくすると相手チームは私の守備位置のセンターを露骨に避けて、流すか引っ張るかのバッティングに切り替えた。ジャストミートしてセンター方向に打つと相手チームからは歓声ではなく落胆の声が聞こえた。
私の守備範囲は広かった。決して足が早い訳ではないが、なぜか打球の落ちる位置が分かって、打った瞬間から落下位置へほぼ一直線で走れた。
なぜこんなことが可能だったのか私自身分からない。物理的に考えれば、センターの位置で打球を見て一瞬で落下地点を予測するなど不可能な筈だ。
イチロー選手ともなるともっと凄い。打った瞬間から背走に背走を重ねて殆んど振り返らずに後ろ向きで捕球する。落ちる位置と時刻をピンポイントで予測しなければこんなプレイはできない筈だ。しかしこれが現実なのだから理屈は現実を後追いしてでも説明せねばならない。
なぜ落下位置が分かるのか。勘ではない。明らかに知覚に基づいている。人間の直感的判断力は科学で解明されているよりも遥かに優れている。直感は神秘的な力ではなく意識されない総合的判断力なのだろう。
自転車や一輪車の乗り方を言葉で説明することは難しい。体で覚えるしかない。脳と体が一体となって反応しなければすぐに転んでしまう。たかが歩行でさえ実は複雑な運動だ。ロボットに二足歩行をさせるためには数十年を要した。無意識の領域に隠れている潜在能力を生かせれば人はもっと賢くなれるだろう。
私の守備範囲は広かった。決して足が早い訳ではないが、なぜか打球の落ちる位置が分かって、打った瞬間から落下位置へほぼ一直線で走れた。
なぜこんなことが可能だったのか私自身分からない。物理的に考えれば、センターの位置で打球を見て一瞬で落下地点を予測するなど不可能な筈だ。
イチロー選手ともなるともっと凄い。打った瞬間から背走に背走を重ねて殆んど振り返らずに後ろ向きで捕球する。落ちる位置と時刻をピンポイントで予測しなければこんなプレイはできない筈だ。しかしこれが現実なのだから理屈は現実を後追いしてでも説明せねばならない。
なぜ落下位置が分かるのか。勘ではない。明らかに知覚に基づいている。人間の直感的判断力は科学で解明されているよりも遥かに優れている。直感は神秘的な力ではなく意識されない総合的判断力なのだろう。
自転車や一輪車の乗り方を言葉で説明することは難しい。体で覚えるしかない。脳と体が一体となって反応しなければすぐに転んでしまう。たかが歩行でさえ実は複雑な運動だ。ロボットに二足歩行をさせるためには数十年を要した。無意識の領域に隠れている潜在能力を生かせれば人はもっと賢くなれるだろう。