俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

情緒不安定

2016-10-26 09:55:08 | Weblog
 癌およびステント装着による痛みに対応するために鎮痛剤を常用するようになってから3か月ほど経つが今の一番の悩みは情緒が不安定であることだ。本人にさえ何が起こっているのか分からないまま奇妙な精神状態がここ2週間ほど続いている。これは脳機能の混乱だろう。これまでに全く経験の無い状態だからどう表現すべきかさえ分からない。
 現在5種類の薬を飲んでいる。鎮痛剤が3種類と下剤と胃腸薬だ。この5種類がどう絡み合って働いているのかはさっぱり分からないが、本来の目的である消化器系の痛みの誤魔化しには大体成功しているようだ。しかし情緒不安定が大きな問題になりつつある。
 2週間ほど前から缶コーヒーを飲み始めた。情緒不安定が始まった時期と重なるがコーヒーがその原因とは思えない。情緒不安定が先にあって、そこから生じる不安定な感情を抑制するために栄養価が低いと承知の上で飲み始めたと解釈すべきだろう。鎮痛剤が効き始めた頃から昼間眠くて堪らなくなりその癖眠れないという夢うつつの状態から逃れるために藁にもすがる思いでコーヒーに手を出したのだと思う。これが意外なほど集中力と思考力を高めた。
 以前のような半覚・半睡の状態で生きていても虚しい。しかし今のような情緒不安定も困る。今のところ覚醒する方法としては神経を精一杯何かに向けるぐらいしか見付けていない。不思議なことに集中すれば不安定な気持ちから解放される。しかし無理やり集中させるのだから当然弊害を伴う。夜になっても目が冴えた状態が続き全然眠れなくなる。
 精神を集中させることは交感神経の働きを高める。まともな精神状態であれば夕刻から夜に掛けて徐々に副交感神経が高められて落ち着く筈なのだが体内ではなく薬と人との戦いが裏に潜んでいるから、内戦ではなく戦争状態になってしまっており簡単には治まらない。戦場になっている脳は幾ら疲弊しても副交感神経優位の状態には戻れないようだ。
 つくづく向精神薬は怖いものだと実感させられ続けている。癌の痛みの解消という明確な目標があって自分自身がその目標を実現するための現場であるということを意識していなければこんな鎮痛剤の使用など即刻中止するところだろう。この情緒不安定という状態は本人にしか理解できない心理ではあるが、非常に苦しく耐え難い感情だ。

 

1 コメント

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Unknown (J)
2018-01-28 11:54:02
中井様、東京のお兄様から
訃報を受けました。
ご冥福をおいのり
いたします

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