俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

中国(2)

2012-03-30 15:18:43 | Weblog
 中国のGDPは日本とほぼ同額だ。一方、人口は10倍だ。一人当たりのGDPは日本の1/10ということになる。もし日本人の所得が1/10になったら到底暮せないだろう。中国人が暮らせるのはインフラを含めて物価が安いからだ。物価が安いのは為替を操作しているからだ。元安にしている中国と超円高と言われる日本を所得によって比較することは難しい。購買力平価に基づけば、中国のGDPは日本の2.5倍ほどあるらしい。
 ジニ係数(所得格差の指標)に注目すれば日本の0.376に対して中国は0.415と、主要国の中ではアメリカの0.450、ロシアの0.422に次いで高い。中国のデータは捏造され勝ちで信用度は低いが、ある調査では既に0.5を上回っているそうだ。先富論という思想的根拠はあるものの、これほど貧富の差の大きな国が共産主義を政治理念として掲げているとは何とも皮肉な話だ。
 最貧層は農民だ。自給自足をする農民なら収入ゼロでも暮らせる。つまり電気も水道も無い土地で、農薬も農機具も使わずに昔ながらの農法で作物を作って自給自足をしていれば収入も支出もゼロだ。中国の底辺には、文明から隔絶された、まるで奴隷制のような原始共産制度社会に生きる人がいる。

住民投票

2012-03-30 15:02:59 | Weblog
 3月28日の朝日新聞は4段抜きの見出しで「5万5千の民意拒む」として、原発の稼働の是非を問う住民投票案を大阪市議会が否決したことを非難した。朝日新聞は橋下市長が大嫌いなようだ。好意的な記事は滅多に無く、常に悪意と曲解に基づいて書く。否決は決して橋下市長の独裁ではなく、共産党以外全党による民主的な合意だ。それをあたかも橋下市長と維新の会による暴挙であるかのように書く姿勢は偏っているとしか言えない。
 そもそも今、原発の賛否を問うことに意味があるのだろうか。事故前ならともかく今投票しても圧倒的多数が反対するに決まっている。そんな住民投票は税金の無駄遣いでしかない。具体性を持たない「世界平和」とか「政界浄化」などの住民投票のようなものだ。
 いずれ原発は全廃されると考えた上で、その過渡期をどう乗り切るかが現在の課題だ。エネルギー供給量を減らして国民と産業界に犠牲を強いるか、安価な石炭をどんどん燃やして大気を汚染するかなどの問題のある選択肢しか無いのが現状だ。
 持続可能エネルギーに対する過大な期待も困ったものだ。太陽光発電はエネルギー効率が悪いのでもしこれだけで日本に必要なエネルギーを賄おうとすれば、農業などを一切諦めて国土を太陽光パネルで覆う必要があるだろう。それは非現実的な方策だ。現実を無視した理想論は有害だ。

オスの役割

2012-03-30 14:44:52 | Weblog
 オスは有性生殖のための道具だ。進化において有性生殖は無性生殖よりも有利だ。無性生殖の場合、その子孫はクローンでありDNAのコピーミスによって変異体が生まれる。しかしコピーミスによる変異体の大半は生存すら困難な欠陥体だ。有性生殖の場合は両親から異なる2種類の遺伝子が受け継がれ、必ずどちらの親とも異なった個体が生まれる。常にクローンでない新しい個体が生まれるが、突然変異体とは違って穏当な範囲での変異だ。オスの役割は進化を促すことだ。
 どういうオスが望ましいか。まず変異が大きいことだ。変異が大きければ適者も不適者も生まれる。これをメスの側が選別すればすぐれた子孫が残る。
 次に必要なことは強さと捕食力だろう。特に哺乳類のようにメスが授乳して育てる場合、オスがメスと子を守りかつ食料を提供する必要がある。オスに求められる役割はメスと子を守る兵士であり食物の供給者であるということだ。
 欠かせないのは繁殖力だ。繁殖力が乏しければ子孫を残せない。人類のオスがメスよりも助兵衛であることはこういった事情からも好ましいことだ。
 人間の男女は同じように育てられるべきではない。男は個性を伸ばし、体力と知力を備え、助兵衛であるべきだ。このことは動物のオスの役割を考えれば明白だろう。才能に恵まれ、しかも助兵衛でもある桑田佳裕氏はその意味で理想的な男性の一人だろう。

タコ焼き屋

2012-03-27 15:22:56 | Weblog
 小学生の時の話だ。校門の前に屋台のタコ焼き屋があった。この店は変な値付けだった。10円で5個、5円で3個だった。私はいつも「5円のを2つ」と注文した。
 なぜこんな変な値付けだったのだろうか。正義感の塊りのような人で貧しい子供の味方になろうとしたのだろうか。私のような5円の品を2個買う子供はパシリをやらされている可哀想な子供と思ったのだろうか。それとも単に算数を知らなかっただけなのだろうか。
 昔、北海道の観光地にはアイヌの格好をした人がいて動物の木彫りを実演販売していた。1個100円と手軽な価格だったので熊を2個注文した。すると220円請求された。理由を尋ねると「同じ物を2個続けて彫るのは面倒だから」とのことだった。
 これほど極端ではないが、今でもまとめて買えば高くなるケースはある。外税表示の店で99円の品を買えば103円だがそれを2個買うと207円になる。書籍も外税表示なので2冊同時に買ったほうが1円高くなることがある。
 生鮮食品の市場では大口注文が入ると値段が上がる。需要と供給のバランスが崩れるからだ。今はどうしているのか知らないが、昔は大手スーパーはわざわざ分散して買い付けていたそうだ。しかしこれは無駄な話だ。人件費が多く掛かるから商品価格が高くなってしまう。今では多分、市場を通さずに農協などから直接買い付けることが増えているだろう。

時間外手当

2012-03-27 15:08:23 | Weblog
 工員や店員に対する時間外手当は正当だ。彼らは上司の命令に基づいて時間を拘束されるからだ。しかし事務員に対する時間外手当の多くは不当だ。これは仕事の遅い者に対する優遇策だ。
 ある業務を処理するためにA氏は8時間、B氏は10時間掛ったとする。現在の制度ではB氏に2時間分の時間外手当が支給される。妙な話だ。もし10㎞先に荷物を届ける仕事で、走って1時間で届けた人よりも歩いて2時間で届けた人のほうが優遇されるなら誰も走ろうとしないだろう。だらだらと歩いたほうが得だ。2時間どころか3時間掛けてゆっくりとサボリながら歩くだろう。そのほうが楽でしかも報酬が多いからだ。
 民間ではこんな馬鹿な問題は生じていない。逆にサービス残業の強制が問題になっている。従ってこれは放漫経営にも等しい公務員だけの問題だろう。これが新たな給与格差にもなっている。
 早く仕事を終える事務員の脳内ではシナプスが活発に働いているだろう。つまり脳の労働量が多い。肉体労働量が多い人に多くの報酬が与えられるように脳の労働量が多い人も報われて然るべきだろう。
 勿論、脳の労働量は測定できない。しかしこの考え方に基づいて賃金体系を見直すことは可能だし必要なことだろう。

地下

2012-03-27 14:52:27 | Weblog
 冷蔵庫は室温を上げる。庫内を冷やし、庫外に熱を放出するからだ。では冷蔵庫の扉を開けっ放しにすればどうなるだろうか。室温は更に上がる。庫内を冷やすために最大量の電力が使われるからだ。
 冷房は室内の気温を下げるがそれ以上に屋外を暖める。人類の文明は加熱しか知らない。加熱を使って冷やすからトータルでは必ず暖めることになる。
 文明や科学が加熱しかできないのなら科学以前の方法で減熱ができないものだろうか。具体的には地下と地下水の活用だ。地下は太陽熱の影響を受けにくいので夏は涼しく冬は暖かい。地下室も同じ特性を持つ。
 地下水の利用は昔よりも衰退している。夏冷たく冬温かい井戸水は貴重な冷暖房資源だろう。冷蔵庫が普及するまではスイカなどを井戸水で冷やしたものだ。
 地下水を使い過ぎると地盤沈下の恐れがある。それを防ぐために循環という方法が考えられる。パイプを使って水を地上と地下に循環させれば冬は暖房に夏は冷房になるだろう。原子力発電のような超高温でさえ循環冷却ができるのだから、家庭の冷暖房程度なら充分可能だと思うのだがどうだろうか。水ではなく空気を循環させることも考えられる。随分原始的な方法だが省エネ技術として夏の冷房と冬の暖房に使えないものだろうか。

人類最速

2012-03-23 15:14:17 | Weblog
 人類最速と言えばウサイン・ボルト選手の100m9.58秒を誰もが思い浮かべるだろう。しかしこれは驚くほど遅い。時速に換算すれば37.6㎞/hに過ぎない。これより速い速度は簡単に経験できる。落ちれば良い。落下開始後僅か1.1秒で秒速10.8m(38.8㎞/h)に達する。
 スキーは時速100㎞以上で滑れるそうだがジャンプはもっと凄い。フライングと呼ばれる競技では200m以上飛ぶ。多分100mほど落下することになるから滞空時間は約4.5秒(100=1/2gtt)、落下速度は秒速44.1m(158.8㎞/h)となり、これにジャンプ時の速度が加われば200㎞/h以上になるだろう。
 しかしこれらは落下という特殊な条件での速さだ。肉体が自力で出せる最高速度は野球の投手の160㎞/hと思われるかも知れない。しかし意外な伏兵がいる。咳をした時の空気は時速300㎞前後、クシャミでは時速320㎞ほどらしい。咳やクシャミが人類が自力で出せる最高速度であるとは何とも皮肉な話だ。
 声はもっと速い。秒速約340mだから時速約1,200㎞だ。しかしこれは人類の能力とは言えない。犬でも猫でも同じ速度を出せるからだ。これよりも遙かに速いのは禿頭の発する光で秒速30万㎞だが、これもやはり人類の能力とは認められまい。

支え合い

2012-03-23 14:57:21 | Weblog
 人は支え合って生きていると言うが、こと金銭に限れば支える側の人が一方的に支えさせられているように思える。
 雇用保険は最も極端だ。一生失業保険を受給しない人は決して低額でない雇用保険料が掛け捨てになる。その一方で何度も失業保険を受給する人がいる。
 健康保険ではしっかり健康管理をする人は負担ばかりを強いられて、少なからず自己責任とも思える生活習慣病患者などの医療費が軽減される。
 年金保険も多くの人にとっては必要の無い制度だろう。多くの人は老後に備えて蓄えている。年金保険という制度が無ければもっと沢山蓄えることができるだろう。
 こう考えると社会保険という制度は極めて不公平な仕組みと思える。一所懸命に働く人、健康管理に努める人、老後に備えて貯蓄に励む人に負担をさせて、そうでないどちらかと言えば迷惑な人に支給しているからだ。これが弱者救済になるのなら妥当性を持つ。しかし社会に巣くうダニの餌となっているのなら全く不当なことだ。
 もし酒や煙草が招く病気の医療費を酒や煙草を嗜まない人に負担させるならそれは不当なことだ。当然、飲酒者や喫煙者が酒税や煙草税として負担すべきだろう。実際のところ酒や煙草にはとてつもなく高い税金が掛けられている。酒や煙草は利用者が負担しているのに社会保険では非利用者が多くを負担させられている。これは奇妙な制度だ。

丸飲み

2012-03-23 14:45:23 | Weblog
 野田内閣は消費税増税に邁進している。二大政党制のもとで野党の主張を丸飲みすれば野党は反対し辛い。それは自己否定にも繋がりかねない。しかしこれは禁じ手だろう。公約を撤回するのなら選挙をやり直すべきだろう。国民は民主党のマニフェストを支持して投票したのであって、民主党に白紙委任状を渡した訳ではない。耳当たりの良い公約を掲げて支持を得ておいて、一旦権力を握れば平気で公約を否定する。これは詐欺にも等しい。こんなことが認められるなら選挙は無意味になる。
 野党案の丸飲みは必ずしも悪い訳ではない。子ども手当のように与野党が微妙な違いで対立しているのなら野党案を与党が支持することによって政策が実現できる。それは現実に基づいた歩み寄りであり大人の対応とも言える。しかし真っ向から対立する公約で野党案を丸飲みすることは許されない。それは民主主義の否定であり、選挙制度を形骸化する悪政だ。

神罰からの解放

2012-03-20 15:09:23 | Weblog
 聖書によると禁断の果実を食べた罰として女には「苦しんで子供を産む」こと、男には「一生苦しんで地から食物を得る」ことが課されたとされている。(「創世記」より)
 ところで日本人の男は働かなくなった。若年の男がニートとして親に依存しその後は生活保護受給者となる。これで一生働かずに済む。一方、女は出産をしなくなった。近い将来、出産しない女性が半数以上を占めることになるかも知れない。これらはある意味で神罰からの解放だ。働く苦しみと産む苦しみから解放されることは神罰から逃れるという意味を持つ。
 私は決して「男は働け、女は産め」と言いたい訳ではない。むしろ逆に、働かないことと産まないことを自然な欲求と認めたい。何しろ神から与えられた罰からの解放なのだから。働くことや産むことを奨励するためには何らかの動機付けが必要だ。インセンティブが無ければ働かないし産まないものだという認識から出発すべきだ。
 人は社会的動物だから社会参加をしたがるとか女には母性本能があるとかいった神話を捨てて、働くことや産むことの意義が見出されねばならない。もしそんな意義が見つからないなら、働かないことも産まないことも個人の自由だろう。
 但し実際のところ、産まない自由はともかく、働かない自由は国民の権利として認められている訳ではない。働かない自由を満喫した人に国民としての生存権が認められることには矛盾を感じる。