俺の翼に乗らないか?

スターフォックスの一ファンのブログ

「ファルコとの出会い」その8

2008年03月04日 02時10分44秒 | 小説『ファルコとの出会い』

 ファルコ機の速度がわずかに落ちたことを確認すると、フォックスは大きく旋回し、ターンしてふたたびファルコ機に接近してゆく。モニタの上にはふんぞり返るスリッピーの姿が、スピーカーからは自慢げな声が聞こえてくる。
「ど~だい、オイラの発明は? 大したもんだろ?」

 ライラット系において、民間から軍用に至るまで、また大気圏内から宇宙空間に至るまで、推進機関として広く使用されているプラズマエンジン。
 それらは規模や細かな構造に違いはあれど、「推進剤となる気体を超高温で加熱、プラズマ化し、電磁力により加速・噴射させ推進力とする」という大まかな原理はすべてに共通している。
 先刻、フォックスのアーウィンから投下され、ファルコ機の直近で破裂した2発の球体。スリッピーお手製の新兵器であるそれは、かれ自身の命名によって「プラズマ冷却弾」と呼ばれているものだ。

「おい! あまり調子に乗るな! 威張るのはヤツを捕らえてからだぞ!」
 ペッピーのアーウィンから通信が入り、調子付いたスリッピーを叱責する。
 スリッピー、ペッピーの両名も、ファルコの行く手を遮るため付近の海上にそれぞれ浮遊している。まるでトンボのように空中で静止できるのは、G-ディフュザーシステムの重力制御によるものだ。
「スリッピー、奴がそっちへ向かうぞ! 警戒しろ!」
 ブーストを開き加速しつつ、レーダーを確認したフォックスは鋭く叫んだ。すっかり油断していたスリッピーは一挙にうろたえる。
「え、えっ!? あわわわっ」
「スリッピー落ち着け。冷却弾をヤツめがけて発射するんだ」
「わ、わかってるよ」
 ペッピーのアドバイスに従い、予め装填済みの冷却弾の照準を、1時方向より接近するファルコ機に慎重に合わせる。緊張と焦りで、照準はこまかく震え安定しない。加えて、ファルコ機のスピードは、落ちたとはいえミサイルのようにすさまじいのだ。
「間に合わないぞ、スリッピー!」
「あああっ、もう!」
 焦るフォックスの声に急かされるように、スリッピーは発射ボタンを押し込んだ。グラビティ・ブレードの根元に取り付けられた砲門から2発の冷却弾が発射され、一直線に飛んでゆく。

 プラズマ冷却弾は、破裂と同時に周囲の空中に細かな粒子をまきちらす。その粒子がプラズマエンジンの吸気孔からエンジン内部に取り込まれ、プラズマ化された推進剤を中和してしまう。しぜん推進力は衰え、冷却弾による攻撃を重ねて受ければ、そのまま飛行することは不可能になる。


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1 コメント

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Unknown ()
2008-03-07 10:12:58
スレにわざわざ貼ってくれて、ありがとうだぜ。
スタフォ愛してる、全部読ませて貰ったぜ。
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