鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

南アフリカみやげの虫図鑑

2012-04-07 11:44:37 | 日記

                               南アフリカの虫図鑑表紙に載っていた、カミキリムシ?




 南アフリカへ植物さがしの旅をしてきたイラストレーターの三浦ユカさんと、
大人になったら樹木医になりたい植物少年ユウヒ君親子から、お土産をいただきました。


 首にビーズをまいたかわいビンに入っているのは、象の好物であるマルーラという果実のジャム
(プルーンに似た味だった)、
ルイボスティをもっと複雑にしたような香味がすばらしいハニーブッシュというお茶、
ラベルにトウヒがデザインされているブラックフォレストハニー、

そして虫好きな私のためにさがしてきてくれた南アフリカの虫の図鑑!



中を見てみると、

スケルトンなハムシ



南部鉄器でできているかのようなゾウムシ


思いっきり派手なイナゴ。

建物の壁にいたという、
オオミズアオにフォルムと色が似ているけれど
たぶん日本にはいない蛾の写真も撮ってきてくれました。



 三浦さん一家は、じつによく旅する家族で、
ユウヒ君が夢見る植物に会うために、
いろいろな国に出かけていきます。
このあいだはラフレシアの花やマングローブを見るために、ボルネオに行ったし、
今度の南アフリカの目的は、もちろんバオバブをはじめとする南アフリカならではの植物。


旅から帰ると、観たものをすぐノートに。
ページからはみ出しそうな絵と説明文に「見たよろこび」が充満している。

 おかあさんである三浦ユカさんのイラストにも必ず樹が描かれている。

いま発売中の『TRANSIT』誌、ベルリン特集の巻頭エッセイの挿画。

 ユウヒ君と木や虫をいっしょに見て歩いて驚くのは、
枝が切り詰められて、下からでは幹しか見えない大きな木の名前まで
わかること。
「どうしてわかるの?」ときくと、
無言で首をかしげている。
わかるから、わかる、といいたげ。

 以前、ハネカクシという地味な虫が専門の分類学者の人に話をきいたことがありました。
「分類って苦手なんですが、分類の決め手ってなんですか?」
すると、その人はいいました。
「分類に必要なのは・・・・・・本質を見抜く能力です」。

 この言葉、虫の名前を調べているときなどに、ときどき思い出します。
自分にはそういう能力、ないなあ、と思いながら。
そして、木の一部や細部を見ただけで名前を次々言うユウヒ君を見ていると、
これが「本質を見抜く能力」なのか、と。

 ユウヒ君はまだ小学4年生になったばかり。
私のもうひとつのブログ『バニャーニャ物語』も愛読してくれていて、
読めない漢字がたくさんあるから、
毎回お母さんがプリントアウトして読んであげているという。
わかる漢字も限られているのに、
どうして、あれだけ植物についての情報がインプットできて
しかも、すぐに取り出せるんだろう?

 さらにびっくりなのは、ユウヒ君の頭のなかには、
『バニャーニャ物語』の舞台になっている半島の植物地図があるらしいこと。
お母さんに読んでもらっていて、
『アザミさんのパン屋さん』が出てくると、
「あ、あの大きなクスノキのあるパン屋さんでしょう」

『丘の上の石舞台』が出てくると
「石舞台には大きいブナの樹があるんだよね」

『ホテル・ジャマイカイン』が出てくると
「入口に黄色い花のエニシダがあるホテルだ!
裏庭にはアーモンドの果樹園があるし、あそこに泊まってみたい」
というふうに、植物を目印にした架空地図ができあがっているようなのです。

 南アフリカの旅でも、初めて見た木のはずなのに名前がわかるし、
走る車から、ユーカリとアカシアの種類も見分けることができたというのだから、
こういう能力は持って生まれた資質、ギフトっていうんでしょう。

 神戸に住んでいるユウヒ君とはたまにしか会えないけれど、
夏休みになったら、またいっしょに植物&虫さがし、行こうよ!





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